中川用語集
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地温(soil temperature)
地表面下の温度。土壌温度とも言う。地中熱フラックス密度の収束により昇温し、発散により降温する。地表面温度は、放射収支の日変化・年変化に伴って大きな日変変化・年変化を示し、その変化は深部に伝播するが、伝播に伴って位相が遅れ、振幅は減衰する。
地温の時間変化は、熱伝導方程式

∂T/∂t=κ∂2T/∂z'2

に従う。ここで、T;地温(℃)、t;時間(s)、κ;土壌熱拡散率、z';深度(m)である。境界条件として、地表面(z'=0)では、

T(0,t)=T+A0sin(Ωt)

と表される日変化を与え、日変化がない無限深度(z'=∞)では、

T(∞,t)=T

を与えて熱伝導方程式解けば、任意の深度における地温T(z',t)を求めることが出来る。ここで、T;日平均地温(℃)、Ω;地球の回転角速度(=7.292×10-5rad s-1)、A0;地表面温度振幅、D;ダンピング深度である。熱伝導方程式を変数分離して解く際に分離定数が必要であるが、地表面における境界条件が角周波数Ωの正弦波であることを考慮して、分離定数をiΩ/κと仮定する。ここで、i;虚数単位(i2=-1)である。この場合の一般解は、

T(z',t)=Aexp{iΩt+i(Ω/2κ)0.5z'}exp{(Ω/2κ)0.5z'}+Bexp{iΩt-i(Ω/2κ)0.5z'}exp{-(Ω/2κ)0.5z'}+T

なので、これの虚部のみを取ると、

T(z',t)=Asin{Ωt+(Ω/2κ)0.5z'}exp{(Ω/2κ)0.5z'}+Bsin{Ωt-(Ω/2κ)0.5z'}exp{-(Ω/2κ)0.5z'}+T

である。無限深度での境界条件よりT(∞,t)=0でなくてはならないので、A=0でなくてはならない。即ち、

T(z',t)=Bsin{Ωt-(Ω/2κ)0.5z'}exp{-(Ω/2κ)0.5z'}+T

である。地表面z'=0におけるこの式の値は

T(0,t)=Bsin(Ωt)+T

であるが、地表面における境界条件よりT(0,t)=T+A0sin(Ωt)でなくてはならないので、B=A0でなくてはならない。従って、地温の鉛直分布の日変化は、

T(z',t)=A0sin{Ωt-(Ω/2κ)0.5z'}exp{-(Ω/2κ)0.5z'}+T

で与えられることになる。ここで、

D=(2κ/Ω)0.5

と置くと、上記の地温の鉛直分布の日変化は、

T(z',t)=A0sin{Ωt-z'/D}exp{-z'/D}+T

と表される。ここで、D;ダンピング深度または侵入距離である。ダンピング深度とは、地温の日変化の振幅が地表面温度の日変化の振幅の1/eになる深度である。通常の土壌のダンピング深度DはD≒0.15mである。地中への温度波の波長は、2πD、即ち、2π(2κ/Ω)0.5であるので、通常の土壌中の温度波の波長は0.94m程度と見積もれる。地中への温度波の位相が等しいところはΩt-z'/Dの値が等しいので、

Ωt-z'/D=const

である。これを時間tで微分すると、

Ω-(1/D)dz'/dt=0

なので、地中への温度波の位相速度cは

c=dz'/dt=ΩD=Ω(2κ/Ω)0.5=(2κΩ)0.5

で与えられる。Ω=7.292×10-5rad s-1、D≒0.15mなので、地中への温度波の位相速度は、c=1.094×10-5m/s=0.039m/h=0.95m/d程度と見積もることができる。つまり、1日周期の地表面温度の振動は約94cmの波長の波として1日に約95cmの速度で地中に伝播するが、約15cm伝播すると1/eに減衰するので、半日かけて45cm程度伝播すると振幅は1/31にまで減衰してしまい日変化はほとんど消失してしまう。日変化の生じない層を不易層と呼ぶ。
地表面の温度には1年周期の振動もあり、地温の年変化が存在する。年変化の角周波数は日変化の角周波数の1/365倍なので、ダンピング深度や波長は19.1倍、位相速度は1/19.1倍となり、1年周期の地表面温度の振動は約18mの波長の波として1月に約1.5mの速度で地中に伝播するが、約3m伝播すると1/eに減衰するので、半年かけて9m程度伝播すると振幅は1/31にまで減衰してしまい年変化はほとんど消失してしまう。

力(force)
質量に加速度を生じさせる能力。1kgの質量に1ms-2の加速度を生じさせる能力を1Nの力と定義する。
力のモーメント(moment of force)
 力の作用点の位置ベクトルrと力Fの外積r×Fを力のモーメントあるいはトルクと呼び、ベクトルNと表記される。力の能率とも呼ばれ、力が質量に回転運動を起させる能力を表す。力Fのモーメントr×Fは、位置ベクトルrと力ベクトルFの両方に垂直で、これに平行に置いた右ネジを位置ベクトルrが向いている方向から力ベクトルFが向いている方向へ回転させた時当該の右ネジが進む方向を向き、大きさは位置ベクトルrと力ベクトルFを2辺とする平行四辺形の面積に等しいベクトルである。つまり、位置ベクトルrと力ベクトルFの成す角をθとおくと、力Fのモーメントr×Fの大きさは、

|r||F|sinθ

と表される。さらに、

|r|=r

|F|=F

とすると、力Fのモーメントr×Fの大きさは、

r F sinθ

と表現できる。即ち、力Fのモーメントr×Fの大きさは、位置ベクトルrの大きさと力ベクトルFの動径に垂直な成分という2つのスカラーの積で表される。
 質点に力のモーメントr×Fが作用すると質点に角加速度が発生し質点の角速度が変化する。作用する力のモーメントr×Fと質点に発生する角加速度d2φ/dt2の間には、トルク方程式

r×F=Id2φ/dt2

が成り立ち、同じ力のモーメントが作用しても質点に生じる角加速度は質点によって異なる。この式の比例定数Iは、質量に対する回転の中心の回りの2次モーメントmr2であり、この値が大きいとトルクが掛かっても角速度の変化が起こりにくくそれまでの回転状態を継続しようとする性質が強いことを意味するので、慣性モーメントと呼ばれる。
地球回転ベクトル(earth-rotation vector)
地球の自転状態を表す回転ベクトル。地軸に平行に置いた右ネジを地球の自転方向に回転させた時に右ネジが進む方向を地球の回転ベクトルの方向とし、地球の回転角速度を地球の回転ベクトルの大きさとして定義する。従って、地球の回転ベクトルは、地軸に平行で北極星の方向を向き、地球の自転周期24時間56分04秒に相当する回転角速度7.292×10-5rad/sの大きさを持つベクトルである。厳密には、地球回転ベクトルの方向も大きさも時々刻々変化するが、気象学的な問題においては、地球回転ベクトルは定ベクトルと見なしてよい。緯度φの地点に原点を持つ局所直交座標系で成分表示した場合、地球の回転ベクトルは、x軸方向には成分を持たず、y軸方向に7.292×10-5cosφrad/s、z軸方向に7.292×10-5sinφrad/sの成分を持つ。地球回転ベクトルは地表面の回転ベクトルとも見なすことができる。回転している地表面に座標系を設置するため、地球上の諸現象を考える際には、遠心力やコリオリの力といった慣性力を想定する必要が生じる。
地球楕円体(earth ellipsoid)
回転楕円体spheroid

(x2+y2)/a2+z2/c2=1

において、
ジオイドを極めて良い精度で近似できるように、具体的に長半径aおよび短半径cを定めたものを、地球楕円体と呼ぶ。これまで、地球楕円体としては、以下のような、さまざまなものが提案されている。日本、ドイツ、フランスではベッセル楕円体、イギリスやアメリカではクラーク楕円体、新興諸国ではヘイフォード楕円体、ソ連をはじめ東欧諸国ではクラソフスキー楕円体を採用していたが、今日では測地基準系1980(GRS80楕円体)が全世界で採用されている。

地球楕円体

年代

赤道道半径a(m)

    極半径c
   (m)

扁平率の逆数
(1/f)

ベッセル楕円体

1841

6,377,397.155

6,356,078.963

299.152813

クラーク楕円体

1880

6,378,249.145

6,356,514.966

293.4663

ヘルマート楕円体

1907

6,378,200

6,356,818

298.3

ヘイフォード楕円体

1909

6,378,388

6,356,911

297.0

クラソフスキー楕円体

1943

6,378,245

6,356,863

298.3

測地基準系1980(GRS80楕円体)

1980

6,378,137.00

6,356,752.31

298.257222101

地衡風(geostrophic wind)
地表面の影響を受けない自由大気中の水平方向の運動方程式は

-(1/ρ)∂p/∂x+fv=du/dt  (x軸方向)

-(1/ρ)∂p/∂y-fu=dv/dt  (y軸方向)

である。ここで、f(=2Ωsinφ)はコリオリのパラメータである。
上記の運動方程式において加速度が存在しない時に吹く風を地衡風という。
即ち、

-(1/ρ)∂p/∂x+fv=0     (x軸方向)

-(1/ρ)∂p/∂y-fu=0     (y軸方向)

を満足する風である。
上式をu、vについて解くと、地衡風の定義式

u=-(1/ρf)∂p/∂x

v=(1/ρf)∂p/∂y

を得る。
上式から地衡風の性質として、
 1:等圧線に平行に吹く
 2:北半球では低圧側を左に見て吹く
 3:風速は気圧傾度に比例し、緯度の正弦sineに比例する
が生じる。
上記の1:等圧線に平行に吹くという性質は、言い換えれば、気圧の等しいところを吹くので幾ら風が吹いても気圧が変わらない、ということを意味している。
地衡風渦度(geostrophic_vorticity)
地衡風vg(ug, vg)の持つ渦度を地衡風渦度と呼び、ζgと表記する。即ち、

ζg=∂vg/∂x-∂ug/∂y

である。コンスタントf地衡風vg(-(1/f0)∂Φ/∂y, (1/f0)∂Φ/∂x)を用いると、地衡風渦度は、ジオポテンシャルの水平ラプラシアンを用いて以下のように表現できる。

ζg=(∂2Φ/∂x2-∂2Φ/∂y2)/f0=(1/f0)∇2Φ
地上気象観測 (surface observation)
気象庁では、種々の気象観測を、観測対象の項目や空間などにより、地上気象観測、高層気象観測、海上気象観測、海洋気象観測、火山観測、地震観測、津浪観測などに類別している。これらのうち地上気象観測は、もっともポピュラーで基本的なものであり、「地上気象観測装置」に装備された、気圧計、温度計、露点温度計、風向風速計、雨量計、日射計、日照計、降雨強度計および感雨器を用いて、気温、気圧、風、湿度、降水量、日照時間等を自動的に観測しており、雲(種類、量、高さ)、視程、天気現象などの項目は目視によっている。地上気象観測は、通報観測と気候観測とに分けられている。通報観測が気圧、気温、風など基本要素の毎時値を国内・国外に気象通報式により通報することを目的としているのに対し、気候観測は気圧、気温、風など基本要素の毎時値のほかに蒸発量や日射量などを観測し、さらに日最大風速や最大瞬間風速などの極値も求めて「地上気象観測原簿」として原観測官署でチェック・保管することを目的にしている。
地図投影法 (map projection)

光源からの光を3次元の地球表面上の位置に当てて2次元の平面(投影面)上に投影する方法。投影面の形状(3通り)と位置(2通り)、および光源の位置(5通り)の組み合わせによって、90通りの地図投影法がありうるが、そのすべてが実際に利用されている訳ではない。

要 素 

       図 法 名

 

 

 

 

 

 

投影面の軸と地軸の関係

 

 

正軸
polar

 

 

横軸
equatrial

 

 

斜軸
horizontal

 

 

投影面の位置

 


tangent

 


secant

 

 

 

投影面の形状

 

方位
azimuthal

 

円筒
cylindrical

 

円錐
conical

 

 

 光源
  の
 位置

心射
gnomonic

内射
internal perspective

平射
stereographic

外射
external perspective

正射
orthographic

 地球の中心に光源を置いて地球表面の点を投影面に投影する投影法を心射投影法(gnomonic projection)という。 地球の中に光源を置いて地球表面の点を投影面に投影する投影法を内射図法(internal perspective projection)という。地球表面に光源を置いて地球表面の点を投影面に投影する投影法を平射図法(stereographic projection)という。地球の外に光源を置いて地球表面の点を投影面に投影する投影法を外射図法(external perspective projection)という。地球の外無限遠方に光源を置いて地球表面の点を投影面に投影する投影法を正射図法(orthographic projection)という。
投影面の形状が平面で、投影面が地球に接している場合、接方位図法(tangent azimuthal projection)といい、投影面が地球と交わっている場合、割方位図法(secant azimuthal projection)という 投影面の形状が円筒で、投影面が地球に接している場合接円筒図法(tangent cylindrical projection)といい、投影面が地球と交わっている場合、割円筒図法(secant cylindrical projection)という投影面の形状が円錐で、投影面が地球に接している場合、接円錐図法(tangent conical projection)といい、投影面が地球と交わっている場合、割円錐図法(secant conical projection)という
投影面の軸が地軸と一致する場合、正軸図法(polar projection)といい、地軸と直交する場合、横軸図法(equatrial projection)といい、それ以外の場合、斜軸図法(horizontal projection)という。

地表面熱収支インバランス(imbalance of the surface energy balance)
地表面熱収支式を修正して

Rn0-G0+A0-H0-ℓE0=Re

と表現されることがある。ここで、Rn0;放射収支、G0;地中熱フラックス密度、A0;人為的熱源からの熱フラックス密度、H0;顕熱フラックス密度、ℓE0;潜熱フラックス密度、Re;地表面熱収支の残差(residuum of the closure)である。地表面熱収支が閉じていれば Re=0 でなくてはならないが、近年、多くの場合 Re≠0 とはならない観測事例が多数蓄積され、地表面熱収支インバランスと呼ばれるようになった。地表面熱収支インバランスの程度を表す指標として、Re/(Rn0-G0) が用いられ、地表面状態の相違に対応して17%〜37%の値が報告されている(下表参照)。
この事実は、放射収支計や地中熱流板で測定された有効エネルギーに比べて、渦相関法で測定される顕熱・潜熱フラックス密度が過小であることを示唆している。この地表面熱収支インバランスが発生する理由として、地表面熱収支各項のフラックス密度測定誤差や各フラックス密度に対するfootprint(航跡)が異なっていることの影響などが指摘されている。


(H. Liu and Th. Foken,2001:A modified Bowen ratio method to determine sensible and latent heat fluxes. Meteorologische Zeitschrift, Vol. 10, No. 1, 71-80, より )
地表面熱収支式(surface energy balance equation)
地表面におけるエネルギー保存則を表現する式。植生が無い場合には、土壌表面と大気のインターフェースとしての地表面は明確に定義でき、地表面熱収支式は、以下のように表現される。

K↓0-K↑0+L↓0-L↑0-G0-H0-ℓE0+A0=0

ここで、K↓0;下向短波放射フラックス密度、K↑0;上向短波放射フラックス密度、L↓0;下向長波放射フラックス密度、L↑0;上向長波放射フラックス密度、G0;地中熱フラックス密度、H0;顕熱フラックス密度、ℓE0;潜熱フラックス密度、A0;人為的熱源からの熱フラックス密度である。上式では地表面に向かって流れるフラックスが正の値として表記されており、地表面に向かって流れ込む熱フラックス密度の総和と地表面から流れ出す熱フラックス密度の総和が常に釣り合っており、地表面におけるエネルギーの過不足は発生しないことを意味している。上式において、顕熱フラックス密度と潜熱フラックス密度を右辺に移項して得られる次式

K↓0-K↑0+L↓0-L↑0-G0+A0=H0+ℓE0

が地表面熱収支式と呼ばれることも多い。この式の右辺は、乱流による地表面と大気との間の熱交換フラックス密度を意味しており、その総和は左辺の総和と等しい。この式の左辺の総和を超える潜熱フラックス密度は発生し得ないことから、左辺の総和を有効エネルギーと呼ぶことがある。左辺のうちの

K↓0-K↑0+L↓0-L↑0

は放射の形態のエネルギーなので、この総和をRn0と表記して、放射収支または正味放射と呼ぶ。即ち、地表面熱収支式は

Rn0-G0+A0=H0+ℓE0

とも表現できる。
地表面に優勢な植生が存在したり、市街地か形成されている場合には、地表面そのものの定義が困難になってくる。例えば、厚さhcのキャノピー層の場合の地表面熱収支式は、以下のように示される。

Rn0-G0+A0=H0+ℓE0+Dh+∂Wc/∂t

ここで、Dh;水平熱フラックスの収束量、∂Wc/∂t;キャノピー層の単位面積当たりのエネルギー貯留Wcの増加速度である。

WcccchcTc

であり、ρc;キャノピー密度、cc;キャノピー比熱、Tc;キャノピー温度である。Rn0とH0およびℓE0はキャノピー表面におけるフラックス密度であり、G0はキャノピー床におけるフラックス密度である。実際には、多くの場合、上式左辺のA0および右辺のDhと∂Wc/∂tは無視できるとされている。
地平線(horizon)
観測地点から見た視野の中の地表面と天空を区分するほぼ円形の境界線(スカイライン)あるいはそれを天球上に投影した線。観測地点が海上であれば、地平線はほぼ完全な円形と見なせ、水平線と呼ばれる。地平線には3種類の概念が存在する。
(1)鉛直線に垂直な平面上の地平線:
  地球の中心を通り鉛直線に垂直な平面が天球と交わる線を天の地平線(celestial horizon)ないしは天文地平線と呼ぶ。
  観測地点で地球に接する平面が天球と交わる線をジオイド地平線(geoidal horizon)と呼ぶ。天の地平線からは地球の半径だけ離れている。
    観測地点の観測者の目の高さ(眼高)を通り鉛直線に垂直な平面が天球と交わる線を天文地平線(astronomical horizon, sensible horizon, rational horizon)と呼ぶ。ジオイド地平線とは眼高だけ天の地平線から離れている。
(2)観測者の眼を通る平面に接する点を結んだ線ないしはその平面が天球と交わる線を 幾何学的地平線(geometric horizon)と呼ぶ。観測者から幾何学的地平線までの距離は地平距離(horizon distance)と呼ばれ、眼高をh(m)とすると、近似的に√(13h)kmで与えられる。即ち、眼高がh=1.7mの場合、幾何学的地平線までの距離は約4.7kmである。また、標高100mの丘の上に立った場合、幾何学的地平線までの距離は約36.4kmである。
(3)観測者の眼に実際に見えるスカイラインないしはそのスカイラインから観測者の眼に光線が届く方向とは逆方向にスカイラインを投影したとき天球と交わる線を眼視地平線(visible horizon)と呼ぶ。実際に眼に見える地平線であり、天体の出や没はこの地平線からの出入りである。眼視地平線は天文地平線より低高度角方向に見える。眼視地平線と天文地平線の成す角を眼高差と呼ぶ。スカイラインが山岳稜線等の天空遮蔽物から成っている場合には、眼視地平線は幾何学的地平線よりも高高度方向に見えるのは当然だが、スカイラインが水平線から成る場合にも、大気層中の光の屈折により幾何学的地平線よりも遠方に地平線が存在するため、眼視地平線は幾何学的地平線よりも高高度角方向に見える。

超音波風速温度計(sonic_anemometer-thermometer)
超音波(人間の可聴周波数20KHz以上の音域)を使用して、風速と温度を同時に計測する装置。SATと略称される。風速v(ms-1)の方向にスパンL(通常15cm〜30cm)離してプローブを向き合わせて配置して、同時に音速c(ms-1)の超音波パルスを発射し合い、それぞれの到達時間T1(s)、T2(s)を測定すると、T1>T2の場合には、

c-v=L/T1

c+v=L/T2

が成り立つ。上2式の和と差を求めると、音速cと風速vが、それぞれ、

c=(L/2)(T1+T2)/(T1T2)

v=(L/2)(T1-T2)/(T1T2)

として得られる。即ち、到達時間和T1+T2と到達時間差T1-T2を計測することにより、音速cと風速vを同時に知ることが出来る。音速cと気温Tの間には、

c2=(Cp/Cv)RT

と表されるから、これを気温Tについて解いて、

T=c2(Cv/Cp)/R

により、到達時間和から気温Tを同時に求めることが出来る。ここで、Cp;定圧比熱(1004Jkg-1K-1)、Cv;定積比熱(717Jkg-1K-1)、R;乾燥空気の気体定数(287Jkg-1K-1)である。

調和解析(harmonic analysis)
フーリエ級数やフーリエ変換を用いて複数の基本的波の重ね合わせによって複雑な関数や信号を表現することを調和解析と言う。基本的波は高調波と呼ばれるので、調和解析という名がある。フーリエ解析とも呼ばれる。
調和関数(harmonic function)
以下のような2階偏微分線型方程式はラプラス方程式と呼ばれる。

2φ(x,y,z)/∂x2+∂2φ(x,y,z)/∂y2+∂2φ(x,y,z)/∂z2=0

ラプラス方程式の解となる関数φ(x,y,z)を調和関数と呼ぶ。
調和級数(harmonic series)
調和数列{a}の各項を初項から順に積算した級数を、調和級数と呼ぶ。逆の言い方をすれば、当該級数の各項の逆数からなる数列が等差数列となる時、当該数列を調和数列と呼ぶ。最も簡単な調和数列は、

1+1/2+1/3+1/4+1/5+……

である。

調和振動(harmonic oscillation)
変位rに比例した復元力-krが働く理想的なバネにつながれて振動する質量mの物体の運動を調和振動と呼ぶ。運動方程式は、

md2r/dt2=-kr

である。
1次元の調和振動は単振動と呼ばれる。
調和数列(harmonic progression)
当該数列の各項の逆数を各項とする数列が等差数列となる数列を調和数列という。
調和数列の一般項anは、 

n =1/{ a + ( n−1)d }

で与えられる。例えば、a=1, d=1の時、調和数列は、

1, 1/2, 1/3, 1/4, 1/5, ……

となる。
直接測定(direct measurement)
測定目的量を直接測定する測定方法。n回の直接測定x1,x2,...xi,...,xnの算術平均x=肺i/nが最確値であり、(xi-x)2/n(n-1)の平方根が二乗平均誤差である。
 

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