中川用語集
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太陰時間(lunar time)
月が南中してから次に南中するまでを1日(24時間)として定める時間。月南中時を正午とする。太陽時間の24時間を1太陰日と言う。1太陰日の間に地球は地軸の回りを373.1763°回転する。このため、月の日周運動は太陽の日周運動に比べて1日に約50分づつ遅くなる。
大気外太陽放射 (extra-terrestrial solar radiation)
大気外日射とも呼ぶ。大気上限の単位水平面に入射する太陽放射(日射)の量で表される。太陽放射(日射)は、太陽から大気上限までの間は、平行光線の形態で伝播してくるので、瞬間の大気外太陽放射フラックス密度は、太陽定数に太陽高度のsinをかけたものに等しい。
大気外日射 (extra-terrestrial solar radiation)
大気外太陽放射とも呼ぶ。大気上限の単位水平面に入射する太陽放射(日射)の量で表される。太陽放射(日射)は、太陽から大気上限までの間は、平行光線の形態で伝播してくるので、瞬間の大気外太陽放射フラックス密度は、太陽定数に太陽高度のsinをかけたものに等しい。
大気境界層 (atmospheric boundary layer)
地表面に接している大気の最下層部分。惑星境界層あるいは単に境界層と記載されることもある。乱流状態にあるのが普通で、上端は安定気層即ち逆転層に覆われている。大気境界層の厚さは、時間と場所により異なり、強い安定成層をなしている場合には数十mの厚さに過ぎず、砂漠上空のような対流活動が活発な領域では数kmの厚さに及ぶ。晴天日の陸上の大気境界層は、日中は乱流混合層が発達し、夜間は接地逆転層が発達して、顕著な日変化を示す。
大気上限 (top of the atmosphere)
地球大気層の上端。TOAと略記されることがある。気圧pが0を示す場所。液相の流体ならば表面が存在するが、気相の地球大気には表面は存在しないので、大気上限の高度zは∞となる。
大気水象 (hydrometeor)

 大気現象のうち、水滴又は氷粒が、大気中を落下したり、浮遊したり、地表から風によって吹き上げられたり、あるいは地面又は地物に付着している現象を、大気水象と呼ぶ。気象庁の地上気象観測法では、大気水象として、、着氷性の雨、過冷却の雨、霧雨、着氷性の霧雨、過冷却の霧雨、雪、みぞれ、雪あられ、霧雪、凍雨、氷あられ、ひょう、細氷(ダイアモンドダスト)、霧、低い霧、地霧、もや、低い地ふぶき、高い地ふぶき、ふぶき、しぶき、露、凍露、霜、霜柱、霧氷、樹霜、樹氷、粗氷、雨氷、積雪、冠雪、結氷、たつ巻を定めている。

大気組成 (composition of the atmosphere)
混合気体である大気を構成する気体の種類とその割合を大気組成という。水蒸気を除く大気組成の主要成分は、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素であり、その体積組成は、順に、78.084%、20.9476%、0.934%、0.0314%である。その他の組成は無数にあるが、その合計は第四の主要成分である二酸化炭素の組成より少なく、微量成分と総括される。水蒸気を除く大気組成は、地球上どこでも、地上から高度80km程度までの間はほぼ一定なので、気象学では、水蒸気を除く大気を分子量28.966の単一の気体として扱い、乾燥空気と呼ぶ。
大気透過率 (atmospheric transmittance)
大気上限に入射した日射のうち地表面に到達する日射の比率。日射強度の比率で表す場合と放射フラックス密度の比率で表す場合がある。
大気上限に入射する日射強度をI0、地表面に到達する直達日射強度をIとするとき、両者の比

I/I0=e-τmr

を大気透過率と呼ぶ。ここで、τ;大気減衰係数、mr;相対大気路程である。相対大気路程mrは、太陽天頂角をθとすると、

mr=35(1244cos2θ+1)-0.5

と表されるが、θ≪75°の場合は、

mr=1/cosθ

で十分な精度で近似できる。大気透過率は、

e-τmr≒(1-Ao)erp0/psmr-Aw    
    =[1-Ao(uozmr)]erp0/psmr-A(uwvmr)

と近似表現できる。ここで、Ao;オゾン吸収率、A;水蒸気吸収率、uoz;オゾン全量、uwv;可降水量、p0;地上気圧、ps;基準気圧、τr;レーリー散乱による減衰係数であり、x=uozmr、y=uwvmrとすると、

Ao(x)=0.02118x/(1+0.042x+0.000323x2)+1.082/(1+138.6x)0.805+0.0658x/{1+(103.6x)3}

(y)=2.9y/{(1+141.5y)0.635+5.925y}

と表される。レーリー散乱の減衰係数τrは以下のような表データとして与えられている。

mr τr
0.5 0.105
1.0 0.099
1.5 0.094
2.0 0.089
3.0 0.082
4.0 0.076
5.0 0.067
8.0 0.060
10.0 0.055

この表のmrとτrの関係は、次式

τr=-ln{1-2×0.3420/(1+6.43/mr)}/mr

により比較的よく近似表現できる。

大気の窓領域 (atmospheric window region)
地球大気組成は8〜13μmの波長域には顕著な吸収帯を有しないため、地表面から上向きに射出された長波放射エネルギーのうち、他の波長域の放射エネルギーは極めって効率よく大気に吸収されるにもかかわらず、この波長域のエネルギーは大気に吸収されることなく宇宙空間まで伝達され易い。この透過率の大きい波長域を大気の窓領域と呼ぶ。
大気のみかけの射出率 (the apparent emissivity of the atmosphere)
物質の単位面積から射出される放射フラックス密度Rはその物質と等温Tの黒体放射エネルギーσT4に比例し、その比例定数εは射出率と呼ばれる。即ち、

R=εσT4

である。底面積1m2の鉛直大気柱の下端面から下向きに射出される長波放射フラックス密度L↓(Wm-2)は、鉛直大気柱下端の気温Ta(K)の黒体放射フラックス密度σTa4(Wm-2)に比例することが経験的にしられている。即ち、

L↓=εaσTa4

が成り立つ。鉛直大気柱が等温であれば、鉛直大気下端の気温Ta(K)は大気柱の温度Ta(K)そのものなので、この比例定数εaは大気の射出率そのものであるが、一般に気温の鉛直分布は等温ではなく逓減していることが知られており鉛直大気下端の気温Ta(K)は大気柱の温度ではない。このためこの比例定数εaは、厳密には大気の射出率とはいえないので、みかけの大気の射出率と呼ぶ。
大気のみかけの射出率εaは地上水蒸気圧e(hPa)との間に、

εa=a+b√e

という統計的な関係があることが知られており、この関係はBruntの式と呼ばれている。Bruntの式は実験式なので、係数は解析データごとに異なるとともに、これらの係数には大気安定度依存性がある。また、大気のみかけの射出率の実験式には、Bruntの式以外に、Angstromの式やSwinbankの式などが知られている。
体積熱容量 (volumetric heat capacity)
単位体積の物質の温度を1℃上昇させるために必要な熱量のことで、物質の密度ρと比熱cの積ρcに等しい。Jm-3K-1単位で表す。
太陽 (sun)
 我々が生活する地球が属する恒星系である太陽系の主星となる恒星。太陽は、銀河系内に1000億以上存在する恒星の一つであり、通常の主系列星G2と分類される。太陽の直径は139万km、質量は1.989×1030kg(太陽系天体の全質量の99.8%以上)、表面温度5800K、核の温度1560万Kに及ぶ。太陽は、質量の約70%が水素、28%がヘリュウム、他の金属が2%以下からなる巨大なガス球である。この質量比率は、太陽半径の最内側25%を占める核の中における核融合による水素-ヘリュウム変換により太陽の一生を通した時間では徐々に変化する。核融合により、1秒間に、約7億トンの水素が約6億9500万トンのヘリュウムに変換され、約400万トンの質量減少が起こり、それに相当するエネルギー(mc2=3.86×1026J)がガンマー線の形態で放出される。このエネルギーは核の上の太陽大気に吸収され、より低温な温度で最射出されながら太陽大気上限に向かって伝達され、半径が69万8000kmの太陽大気上限である光球に達した時には、太陽大気の温度は5800Kにまで低下する。太陽から1億4960万km離れた地球に電磁波の形で届くエネルギーのほとんどすべては光球表面から可視光および赤外光として射出される。
太陽系 (solar system)
 我々が生活する地球が属する、太陽を主星とする恒星系を太陽系と呼ぶ。チェコのプラハ開催の国際天文学連合(IAU)総会が2006年8月24日に太陽系惑星に関する新たな定義を策定し、ニュースになったことは記憶に新しい。同新定義に従うと、太陽系を構成する天体は、
(1)主星となる恒星(太陽)
(2)8つの惑星(水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星)
(3)dwarf planet(矮惑星)
(4)衛星(水星と金星以外のすべての惑星が衛星を持つ)
(5)small solar system bodies(太陽系小天体)
から成る。
 惑星は、元来は、天球上をさまようように動く星という特徴だけから定められた用語であったが、新たな定義では、
 (a) 太陽の周りを回り、
 (b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、
 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった
天体として定義される。この新たな定義により、従来太陽系第9番惑星とされていた冥王星が惑星から除外され、太陽系惑星は、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つとなった。
 dwarf planet(矮惑星)は、
 (a) 太陽の周りを回り、
 (b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、
 (c) その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、
 (d)衛星でない
天体として定義される。この新たな定義により、従来太陽系第9番惑星とされていた冥王星が惑星から除外され、dwarf planet(矮惑星)となった。冥王星以外のdwarf planet(矮惑星)の認定とその名称の制定は、今後、行われることになる。
 small solar system bodies(太陽系小天体)は、太陽の周りを公転する(2)〜(4)以外のすべての天体として定義される。small solar system bodies(太陽系小天体)には、従来の小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュアン天体(海王星より遠方にあって太陽の周りを公転する天体)、彗星等が含まれる。
太陽高度角 (solar elevation angle)
太陽方向と水平面の成す角度。天頂軸と太陽方向が成す角、天頂角とは補角関係にある。太陽と天の北極および天頂で構成される球面三角形は、時角hが天の北極の内角であり、時角を挟角とする二辺は緯度φの補角と太陽赤緯δの補角で、対辺は太陽高度αの補角となる。この球面三角形に第二余弦定理を適用すると、

cos(π/2-α)=cos(π/2-φ)cos(π/2-δ)+sin(π/2-φ)sin(π/2-δ)cos(h)

から、

α=sin-1{sinφsinδ+cosφcosδcos h}

が導かれる。

太陽方位角 (solar azimuth angle)
太陽方向と真南方向の鉛直面の成す角度。ψと表記し、真南から西方向を+、東方向を-で表し、緯度φ、太陽赤緯δ、太陽高度α、太陽時角hから、

ψ=tan-1[cos(φ)cos(δ)sin(h)/{sin(φ)sin(α)-sin(δ)}]

として求めることができる。

太陽時間 (solar time)
太陽の南中してから次に南中するまでを1日(24時間)として定める時間。太陽南中時を正午とする。太陽時間の24時間を1太陽日と言う。1太陽日の間に地球は地軸の回りを360.9856°回転する。
太陽定数 (solar constant)
太陽の放射エネルギーは気象学的に有効な唯一の地球大気系のエネルギー源である。平均地心太陽距離にある地球大気上限に到達する日射強度を太陽定数と呼ぶ。
太陽は黒体とみなせるので、太陽の温度をTsとすると、単位面積当たりの太陽表面から射出される放射エネルギーは

σTs4

である。太陽の半径をRsとすると、太陽表面積は4πRs2なので、太陽表面から単位時間に射出される全放射エネルギーは4πRs2σTs4である。このエネルギーは光速で宇宙空間に広がっていくが、エネルギー保存の法則に従って、太陽の中心を中心とする球の表面に存在するエネルギー量は常に等しい。太陽の中心からR*(=1億4960万km)離れたところにある地球を通る太陽を中心とする球の表面積は4πR*2であるが、この球の表面に存在する放射エネルギーの総和も4πRs2σTs4である。従って、地球大気上限の太陽光に垂直な単位面積当たりの放射エネルギーの大きさは、4πRs2σTs4/4πR*2=σTs4(Rs/R*)2となる。このσTs4(Rs/R*)2をIと表し、太陽定数と呼ぶ。
太陽定数Iは、太陽の表面温度Ts、太陽の半径Rs、太陽と地球の距離R*のいずれかの変動に対応して、変化するが、現在の気象学では、I=1367W/m2で一定として扱われている。

太陽天空経路図 (sun path diagram, sun path chart)
 日周運動する太陽の天空上の通過経路を示した図を、sun path diagramまたはsun path chartと呼ぶ。確立された邦語は定かではないが、人工衛星の通過経路を表す際に同様の図を作成して天空経路図と呼んでいるので、強いて邦語訳を示すならば、太陽天空経路図となるのではないか。天空における太陽の通過経路を、天頂を中心とする全天空図の中に、時間の経過に従って変化する一連の太陽高度角太陽方位角を時刻を添記しながらプロットした点を繋いだ曲線で示した図である。特定の日の通過経路だけを示すこともあるが、季節変化の特徴を把握するために、春分・秋分および夏至・冬至近傍を含む複数の経路を重ねて示すことが多い。更に、スカイラインを重ねて示すと、現地の日出・日没時刻、従って可照時間の季節変化も容易に読み取ることが出来る。
 下図は、オレゴン大学太陽放射モニタリング研究室HPのソフトにより得られた熊谷の太陽天空経路図を示す。

         (http://solardat.uoregon.edu/PolarSunChartProgram.htmlより)

 

太陽同期衛星 (sun synchronous satellite)
太陽同期軌道を回っている衛星。
太陽同期軌道 (sun synchronous orbit)
地球の衛星の軌道面の回転方向と回転速度が地球の公転角速度に等しい軌道。地球の公転周期(1年)は365.2422日であるので、1日当たりの公転角速度は0.98565°である。一方、地球の衛星の軌道面は、赤道に直角な軌道の場合には必ず北極および南極の上空を通過する完全な極軌道軌道となり軌道面の方向は一切変化しないが、赤道に直角でない軌道の場合には軌道面が回転する。その場合の衛星軌道面の回転速度(°/d)は

9.943(RE/a)3.5cos i

となることが知られている。ここで、
RE;地球の赤道半径(=6378.0km)、a;軌道長半径(衛星高度に赤道半径を加えたもの)、 i;軌道傾斜角である。即ち、衛星軌道面の回転方向は軌道傾斜角が90°より小さいと太陽の方向の変化とは反対方向となり、軌道傾斜角が90°より大きいと太陽の方向の変化とは同方向となるので、太陽同期軌道を取るためには軌道傾斜角は90°以上であることが必要である。衛星軌道面の回転速度は軌道傾斜角の余弦だけでなく軌道長半径の関数でもあるので、衛星高度により太陽同期軌道の軌道傾斜角は異なる。上式により求めた衛星高度ごとの太陽同期軌道の軌道傾斜角を一覧にして下記に示す。

衛星高度

軌道傾斜角

      0km

  95.689°

  100km

  96.008°

   200km

  96.340°

    300km

  96.686°

   400km

  97.045°

    500km

  97.417°

    600km

  97.804°

    700km

  98.205°

    800km

  98.621°

    900km

  99.052°

 1000km

  99.499°

  1100km

  99.962°

  1200km

 100.441°

太陽放射 (solar radiation)
太陽起源の放射。日射とも呼ぶ。太陽放射エネルギーの99%以上が波長4μm以下なので、短波放射とも呼ぶ。太陽の方向から来る太陽放射を直達日射、太陽とは異なる方向から来る日射を散乱日射と呼ぶ。
対流(convection)
流体の移動(流れ)による物理量の輸送を対流と呼び、大気中や海洋中、マントル中で発生する。対流は、伝導と放射とともに、流体中の主要な熱輸送メカニズムの一つである。対流は、流体中の温度差や流体と流体の境界との間の温度差や塩分濃度等のその他の原因による密度差により発生する自由対流と、外部の駆動力により発生する強制対流とに区分される。広義では、流体の移動(流れ)による物理量の輸送はすべて対流と呼ぶが、狭義では、鉛直方向の物理量の輸送に限定し、水平方向の物理量の輸送は移流と呼ぶことがある。
対流雲(convective cloud)
雲底は下層雲高度にあるが、対流によって鉛直に発達するため、雲頂は中層雲高度や上層雲高度に達する雲。代表的な対流雲として、積雲や積乱雲があげられる。
対流凝結高度(convective condensation level)
地上の空気塊が熱浮力による自由対流により上昇して飽和に達する高度。この間、空気塊の比湿や混合比は保存されるので、対流凝結高度における比湿や混合比は地上の比湿や混合比と等しい。実際に地上の空気塊が熱浮力による自由対流により上昇して飽和に達して雲が形成されている場合、対流凝結高度は持上げ凝結高度に等しく、それらは雲底高度に等しい。
対流圏界面(tropopause)
対流圏と成層圏の境界。対流圏内では気温減率は6.5K/kmでほぼ一定であるのに対して、成層圏ではほぼ等温ないしは弱い逆転層をなす。このため、安定度は対流圏から成層圏に向かって圏界面を境にして急激に増加する。対流圏海面高度は、熱帯地域の15〜20kmから極域の約10kmまで変動する。冬季の極域では気温減率の急変点が無いので、圏界面高度を決定することが困難ないしは不可能な場合がある。また、冬季の中緯度地方には二重圏界面構造が存在することが多い。
対流有効位置エネルギー(convective available potential energy)
 飽和した空気塊が自由対流高度zLFCから浮力ゼロ高度zNFまで上昇する間に浮力がする仕事を対流有効位置エネルギーと呼び、CAPEと表記する。浮力が行う仕事の大きさは、自由対流高度zLFCから浮力ゼロ高度zNFの間で開放される浮力ポテンシャルエネルギーに等しく、持上げ凝結高度が存在すれるだけで非負の値をとる。対流有効位置エネルギー(CAPE)は、通常J/kg単位で示され、不安定の程度を示す良い指標である。
 上昇する空気塊と周辺大気の温度を、それぞれ、TおよびTeとすると、当該空気塊が受ける浮力は、上向き(z軸方向)に

g(T-Te)/Te

と表されるから、浮力のポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)をPとすると、

g(T-Te)/Te=-dP/dz

が成り立たねばならない。鉛直軸をzからpに変換すると、

dp=-ρgdz

だから、

(T-Te)/Te=ρdP/dp

でなくてはならない。状態方程式

p=ρRTe

を変形して

ρ=p/RTe

を代入すると、上式は、

R(T-Te)=pdP/dp

となる。これを整理してpについて積分すると、
                          p
P(p)-P(p0)=R∫(T-Te)dp/p
                          p0
となる。従って、浮力のポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)P(p)は
                          p
P(p)=P(p0)+R∫(T-Te)dln(p)
                          p0
と表される。
 浮力のポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)P(p)を、ln(p)で微分すると、

dP/dln(p)=R(T-Te)

が得られる。浮力は浮力ポテンシャルエネルギーの勾配とは逆方向に勾配の大きさに比例して働く。
 左下の図に深い対流雲が形成されている時の典型的な状態曲線を示す。周辺大気は気温減率0.650K/100mの標準大気と看做し、その状態曲線を実線で示す。緑○で示した気圧p0の空気塊が断熱上昇した時、上昇する空気塊が示す状態曲線を破線で示す。右下の図は、この時の浮力ポテンシャルエネルギーの鉛直分布を示してある。
 気圧p0を示す地上における浮力ポテンシャルは、
                          p0
P(pn)=P(p0)+R∫(T-Te)dln(p)=0
                          p0
となるので、0である。地上付近では、上昇気塊は乾燥断熱減率0.976K/100mで降温するので、上昇気塊の気温Tは周辺大気の気温Teより徐々に低くなる。

T-Te<0

だから、

dP/dln(p)=R(T-Te)<0

となり、空気塊が上昇するにつれて浮力ポテンシャルエネルギーは増加する。このため負の浮力が働くので、この層は安定層である。
 上昇空気塊が飽和すると持上凝結高度に達し、対流雲底が形成される。持上凝結高度(対流雲底)より上層では、上昇空気塊は飽和状態を保ったまま断熱上昇するので、湿潤断熱減率で降温する。湿潤断熱減率は標準大気の気温減率より小さいので、上昇気塊の気温Tは周辺大気の気温Teより低いものの、徐々にその差は小さくなる。しかしながら、徐々に差は縮まってはいるが、

T-Te<0

だから、

dP/dln(p)=R(T-Te)<0

となり、浮力ポテンシャルは増加を続ける。このため、この層も安定層である。
 持上凝結高度(対流雲底)より上層を空気塊が上昇するにつれ上昇気塊の気温Tと周辺大気の気温Teの差が縮まり、自由対流高度で両者は等しくなる。自由対流高度を超えると、上昇気塊の気温Tは周辺大気の気温Teより徐々に高くなる。

T-Te>0

だから、

dP/dln(p)=R(T-Te)>0

となり、空気塊が上昇するにつれて浮力ポテンシャルは減少する。従って、正の浮力が働くので、この層は不安定層である。浮力ポテンシャルエネルギーの勾配が逆転するので、浮力ポテンシャルエネルギーは自由対流高度で最大値P(pLFC)
                          pLFC
P(pLFC)=P(p0)+R∫(T-Te)dln(p)
                          p0
を取る。
 自由対流を続けると上昇空気塊中の水蒸気が減少してくるため湿潤断熱減率は徐々に減少し、水蒸気を失う高層では湿潤断熱減率は極めて乾燥断熱減率に近くなる。成層圏まで上昇すると周辺大気の気温減率はほぼゼロとなるため、周辺大気の状態曲線と上昇空気塊の状態曲線が再び交わる。このため成層圏最下部において

T-Te=0

となるので、浮力がゼロの平衡高度となり、浮力ポテンシャルエネルギーは大幅に落ち込み最小値P(pNF)
                          pNF
P(pNF)=P(p0)+R∫(T-Te)dln(p)
                          p0
を取る。空気塊が自由対流高度から浮力ゼロ高度まで上昇する間に開放された浮力ポテンシャルエネルギーは
            pNF
P(pLFC)-P(pNF)=R∫(T-Te)dln(p)
            pLFC
と見積もられる。この開放される最大の浮力ポテンシャルエネルギーを対流有効位置エネルギー(CAPE)と呼ぶ。
 開放された浮力ポテンシャルエネルギーが対流のエネルギーに変換され、上昇空気塊は浮力ゼロ高度では大きな上昇速度を持っている。このため、自由対流で上昇してきた空気塊は浮力ゼロ高度より上層までオーバーシュートする。成層圏の周辺大気はほぼ気温減率ゼロなのにオーーバーシュートした上昇空気塊の温度はほぼ乾燥断熱減率で減少するので、上昇気塊の気温Tは周辺大気の気温Teより急速に低くなる。このため、浮力ポテンシャルエネルギーは急速に増加し、わずかの距離(数km)のオーバーシュートで自由対流高度における浮力ポテンシャルエネルギーに到達して、上昇速度がゼロの貫入高度になり、塔状積雲の雲頂高度となる。上昇速度がゼロになれば、負の浮力が働らき空気塊は浮力ゼロ高度に向かって降下する。相変化する水滴と水蒸気および乾燥空気が常に行動をともにしていれば、対流雲の中では上下方向の運動エネルギーと浮力ポテンシャルエネルギーの和を保存され、浮力を復元力として浮力ゼロ高度(平衡高度)の周りを振動するため激しい対流活動が継続することになる。 

対流抑制(convective inhibition)
 地上の未飽和の空気塊を自由対流高度zLFCまで上昇させるために必要なエネルギー供給量を対流抑制と呼び、CINと表記する。この時される仕事の大きさは、地上から自由対流高度zLFCの間に蓄積される浮力ポテンシャルエネルギーに等しく、持上げ凝結高度が存在すれるだけで非負の値をとる。対流抑制(CIN)は、通常J/kg単位で示され、対流の起こり難さを示す良い指標である。
楕円(ellipse)

 2点からの距離の和が等しい平面上の点の軌跡を楕円と呼び、2点を当該の楕円の焦点と呼ぶ。
2つの焦点をx軸上原点を挟んで等距離の場所に置き、その座標を(-f,0)、(f,0)とし、この2つの焦点からの距離の和をdとすると、題意より、楕円上の点(x,y)は

{(x+f)2+y2}0.5+{(x-f)2+y2}0.5=d

を満たさねばならない。ここで、題意より、d>2fでなくてはならない。両辺自乗すると、

(x+f)2+y2+(x-f)2+y2+2[{(x+f)2+y2}{(x-f)2+y2}]0.5=d2

整理すると、

2{(x2+y2+f2+2fx)(x2+y2+f2-2fx)}0.5=d2-2(x2+y2+f2)

なので、これの両辺を再度自乗すると、

4(x2+y2+f2)2-16f2x2=d4-2d2(x2+y2+f2)+4(x2+y2+f2)2

両辺からを4(x2+y2+f2)2引いた後、整理すると、

{1-4(f/d)2}x2+y2=d2/4-f2

が得られる。この式はさらに、

x2/(d2/4)+y2/(d2/4-f2)=1

と変形できる。これが、2点(-f,0)、(f,0)からの距離の和がdとなる楕円の方程式である。ここで、

a2=d2/4

b2=d2/4-f2

と置くと、楕円の方程式の一般形は、

x2/a2+y2/b2=1

と表現できる。ここで、a;焦点が配置されているx軸方法の半径(長軸半径)、b;短軸半径である。
上記の置き換えから明らかなように、

d=2a

f=(a2-b2)0.5

である。即ち、2つの焦点の座標は(-[a2
-b2]0.5,0)と([a2-b2]0.5,0)であり、楕円上の任意の点と2つの焦点からの距離の和dは長軸半径aの2倍に等しい。

楕円の面積はabπである。楕円の円周の値は、次の積分

        π/2
4a∫{1-(a2-b2)2/a2sin2t}0.5dt
         0

を実行すれば直接求めることができるが、簡単な解析的な表現は存在しない。良い結果が得られる近似式の一つに、次式

{3(a+b)-[(a+3b)(3a+b)]0.5

がある。
楕円の方程式は、θを媒介変数として、

x/a=cosθ

y/b=sinθ

と表現することができる。即ち、半径がaとbの同心円を描いておいて、角度θの動径と両円の交点を求め、半径aの円との交点のx
座標をx座標、半径bの円との交点のy座標をy座標とする点の軌跡を求めると楕円の軌跡を得ることができる。これは、言い換えると、半径aの円の軌跡のy座標をb/a倍に圧縮すると楕円の軌跡が得られることになる。
楕円の方程式は、焦点を原点とする極座標では、

r=p/(1+e cosθ)

と表すことができる。ここで、p;半直弦semi-latus rectum、e;離心率である。離心率eは、

e2=(a2-b2)/a2

と定義される。しかるに、

f2=a2-b2

であるから、

e=f/a

とも表現できる。半直弦pは、x=fの時のyであるから、

f2/a2+p2/b2=1

が成り立ち、かつ

f2= a2- b2

が成り立つから、

p=b2/a

である。従って、極座標による楕円の方程式は、

r=b2/[a+(a2- b2)0.5cosθ]

とも表現できる。
a=bの場合、楕円の方程式は、

x2+y2=a2

となり、半径aの円の方程式となる。

楕円軌道(elliptic orbit)

 恒星を主天体として公転する惑星や惑星を主天体として公転する衛星の公転軌道は、主天体を焦点の一つとする楕円形をなすことが知られており、この軌道を楕円軌道と呼ぶ。
 
質量Mの主天体から距離離r0れた地点から主天体からの動径に直角な方向に初速v0で発射された天体の発射点からの離角θにおける主天体からの距離rは、当該天体の質量には依存せず、

rr02v02/GM/{1-(1r0v02/GM)cosθ}

と表される。ここで、
G;万有引力定数である。この式は、当該天体の公転軌道が、離心率|1r0v02/GM|の楕円となることを意味している。
 発射点における速度
v0が小さい場合には、離心率|1r0v02/GM|は、


1
r0v02/GM

であり、発射点を遠点とし主天体を焦点とする楕円軌道となる。発射点から主天体の回りを180°回転した近点における主天体からの距離は、

r02v02/GM/(2r0v02/GM)

となる。初速
v0が0に近い場合は離心率は1に近いが、初速v0の増加とともに離心率は0に近づく。それに従って、天体の公転軌道は、初速v0が0に近い場合の極めて扁平な楕円軌道から、初速v0の増加とともに楕円軌道の扁平度が低下し、近点(θ=π)における主天体との距離rが大きくなり円軌道に近づく。
 離心率が

1
r0v02/GM=0

の時、即ち、

v0=(GM/r0) 0.5

の時、当該天体の公転軌道は完全な円軌道となる。主天体の半径が
r0である時、初速v0が第一宇宙速度(GM/r0) 0.5未満である場合には、発射された天体は主天体の表面に衝突してしまい、主天体の回りを公転できない。速度 (GM/r0) 0.5は、発射された当該天体が主天体の引力に抗して公転運動を行える最低限の速度を意味しているので、速度 (GM/r0) 0.5を第一宇宙速度と呼ぶ。
 離心率|1
r0v02/GM|は、遠点における初速v0が第一宇宙速度(GM/r0) 0.5より大きい場合には、

r0v02/GM1

であり、発射点からの離角θにおける主天体からの距離rは、当該天体の質量には依存せず、

rr02v02/GM/{1+( r0v02/GM1)cosθ}

と表される。これは、発射点を近点とし主天体を焦点とする楕円軌道である。初速
v0が第一宇宙速度(GM/r0) 0.5に近い場合は離心率は0に近いが、初速v0の増加とともに1に近づく。それに従って、天体の公転軌道は、初速v0が第一宇宙速度(GM/r0) 0.5に近い場合は極めて円軌道に近いが、初速v0の増加とともに楕円軌道の扁平度が増し、遠点(θ=π)における主天体との距離

r02v02/GM/{2( r0v02/GM)}

となる。明らかに、初速
v0の増加とともに、離心率や遠点(θ=π)における主天体との距離rが大きくなり、離心率が

r0v02/GM1=1

の時、即ち、

v0=(2GM/r0) 0.5

の時、遠点(θ=π)における主天体との距離rは無限大となり、当該天体は主天体の公転軌道である楕円軌道から離脱し、放物線起動に乗る。速度 (2
GM/r0) 0.5は、発射された当該天体が主天体の公転軌道から離脱する速度を意味しているので、速度 (2GM/r0) 0.5を第二宇宙速度と呼ぶ。当該天体が主天体の周りを公転するためには、初速v0が第一宇宙速度(GM/r0) 0.5以上であり、同時に、第二宇宙速度(2GM/r0) 0.5未満であることが必要である。
楕円体(ellipsoid)

x2/a2+y2/b2+z2/c2=1

を満足する点(x,y,z)により表面が形成される3次元の図形を楕円体と呼ぶ。楕円体の原点を通るxy断面、xz断面、yz断面はいずれも楕円になり、3軸方向の半径は不等であるのが一般的である。
楕円体の方程式は、θφを媒介変数として、

x/a=cosθsinφ

y/b=sinθsinφ

z/c=cosφ

と表現することができる。楕円体の表面積は、

               
π
2√2
b∫{a2+c2+(a2-c2)cos(2φ)}0.5
                0

となるとされている。これによれば、表面積の式の形は
a2-c2の値により異なることになる。楕円体の体積は

(4/3)abcπ

である。
楕円を短軸の周りに回転させると楕円体が形成されるが、この場合は、回転軸に直交する2軸方向の半径は等しくなり、

(x2+y2)/a2+z2/c2=1

と表現される。この場合の楕円体を回転楕円体と呼ぶ。a>cの回転楕円体を扁平回転楕円体、a<cの回転楕円体を長円回転楕円体と呼び、区別する。回転軸を地軸に一致させ、短軸半径と長軸半径を地球の短半径と長半径に一致させた扁平回転楕円体を地球楕円体と呼ぶ。
a=b=cの場合、楕円体の方程式は、

x2+y2+z2=a2

となり、半径aの球の方程式となる。

滝雲(cloud fall)

山の稜線から滝のように垂れ下がった雲。層積雲の一種。安定成層した飽和気層が稜線を越え、風下の乾燥気層との間に形成される混合層が不飽和状態となる際に、出現する。

(http://w3222.nsk.ne.jp/~n-abe/cloud.htmより)

たつ巻、竜巻 (torunado, funnel aloft, waterspout)
 気象庁が地上気象観測法で、大気水象の一つとして、たつ巻を定義している。それによると、たつ巻は激しいうず巻であり、柱状又は漏斗状の雲が積乱雲の底からたれ下がり、海面から巻き上げられた水滴、又は地面から巻き上げられたちり、砂などが、尾のように立ち上 がっている、としている。漏斗状の雲の軸は鉛直か又は傾いており、ときには曲がりくねっていることもあり、漏斗の先が、地面又は海面からの「尾」とつながっていることが珍しくない、としている。たつ巻の中の空気は,低気圧性に急速に回転することが多く、積雲の下に弱いたつ巻が観測されることがある、としている。
 わが国ではたつ巻をさらに区分する習慣はないが、英語文献では、funnel aloft(空中たつ巻)、torunado(陸上たつ巻)、waterspout(水上たつ巻)の3者が区別される。いずれも頭上に親雲と呼ばれる積雲ないしは積乱雲が存在し、親雲と地表面との間に渦巻状の上昇気流が形成されている。親雲が発達する前に高度の増加ともに風向が変化し風速が増加する状態であると、大気最下層に水平方向に回転軸を持つ見えない渦巻が形成される。親雲の中の上昇気流が大気最下層の水平方向に回転軸を持つ見えない渦巻を垂直方向に持上げると、地上から雲底を通り雷雲の中至る鉛直な回転軸を持つ顕著な渦巻、即ちたつ巻が形成される。たつ巻の中は異常に低圧となっているので、周辺の空気が猛烈な勢いで引き込まれ、角運動量保存則により渦巻の回転が強烈になり、渦を巻きながら上昇して親雲の中に吸い込まれる。周辺の空気が低圧なたつ巻の中心部に引き込まれる際に、断熱膨張により降温するので、乾燥した空気を吸い込んでいる場合には雲が出来ないこともあるが、湿潤な空気を吸い込んでいる場合には飽和に達っして雲が出来きる。この雲の形が逆円錐形をなしているので、漏斗雲と呼ばれる。漏斗雲は、親雲の雲底から地上に向かって伸び始める。漏斗雲の先端が地上に到達していない状態を、funnel aloft(空中たつ巻)と呼ぶ。漏斗雲が地上に到達した状態を、torunado(陸上たつ巻)と呼ぶ。漏斗雲が水面に到達すると、高速で回転する水面上の空気のために水海面上に激しい水煙を伴ないwaterspout(水上たつ巻)と呼ばれる。


(http://www.crh.noaa.gov/gid/images/photogallery/tornadoes/picture03.jpgより)


(http://www.photolib.noaa.gov/historic/nws/images/wea00308.jpgより)

多方大気 (polytropic atmosphere)
気度が高度の増加とともに直線的に変化する構造をもつ大気の総称。気温減率をΓとすると、多方大気の気温の鉛直分布は、

T=T0-Γz

と表される。Γ=0のとき等温大気、Γ=g/Cp=0.976K/100mのとき断熱大気または等温位大気、Γ=g/R=3.417K/100mのとき等密度大気と呼ばれる。多方大気の気圧の鉛直分布は、

p=p0(1-Γz/T0)g/(RΓ)

と表される。

ダランベールの定理 (d'Alembert's principle)
慣性力を導入すると、動力学の問題があたかも静力学の問題のように釣り合いを考えるだけで解ける、という考え方。通常の運動方程式は、

F=ma

と表現され、力が作用した結果、質量mの物体に加速度αが生じたと考えるが、これを、

F-ma=0

と変形し、物体に力Fのほかに慣性力-maが作用しているため釣り合っていると考えようというもの。即ち、力を受けている物体に座標系を固定している場合、物体が受けている外力とは逆方向に外力と釣り合う慣性力が作用しているために、物体に固定した座標系内では加速度が生じないと考えることができる。例えば、円運動をしている自動車内の様子を考えよう。車の外からみれば乗っている人は向心力を受けた車と一緒に円運動をしているが、車の中でみれば、向心力と同じ大きさの力を向心力とは反対の方向に受けているので車の中の同じ位置に留まっていられると感じる。この力は、物体が瞬間における直線運動を続けようとする性質(慣性)を持っているために生じるているように感じる見かけの力であり、慣性力と呼ばれる。向心力に対する慣性力は遠心力と呼ばれる。

ダルトンの分圧の法測 (Dalton's law of partial pressure)
混合気体の全圧は、各構成気体の分圧の総和に等しい、という法則。例えば、湿潤空気は乾燥空気と水蒸気の混合気体であるので、、気圧pが全圧に相当し、乾燥空気圧pdおよび水蒸気圧eが分圧である。即ち、

p=pd+e

と表現される。
単振動 (simple harmonic oscillation)
物体に平衡状態からの変位と反対方向に変位に比例した復元力が働く場合にこの系が示す運動を単振動と呼ぶ。単振動を行う物体の質量をm、平衡状態の位置からの変位をzと表すと、この物質の加速度は∂2z/∂t2なので、物質が受ける力はm∂2z/∂t2と表される。平衡状態にある位置からの変位zに比例して変位zと反対の方向に働く復元力は、比例定数をkとすると、-kzと表される。両者が等しいので、単振動する物体の運動方程式は、

m∂2z/∂t2=-kz

と表現される。この式は、zに関する2階常微分方程式で、その一般解は、

z=Acos((k/m)0.5t}+Bsin((k/m)0.5t}

と表される。ここで、AおよびBは境界条件によって定まる定数であるり、(k/m)0.5は角振動数と呼ばれる。角振動数で2πを除した値2π(m/k)0.5は振動周期を表す。上記の一般解は、

z=A0sin{(k/m)0.5t+φ}

と変形できる。この時、Aは振幅、φは初期位相と呼ばれる。

短波放射 (short wave radiation)
波長4μm以下の放射。地球−大気系内に存在する波長4μm以下の放射の99%以上は太陽起源の放射なので、下向き短波放射は太陽放射、上向き短波放射は、反射された太陽放射である。

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