中川用語集
用語集Topへ戻る前に戻る 
  中川清隆ホームページTOP      さ←し→   

シアー渦度  ジェット気流巻雲  ジオイド  ジオイド高   ジオポテンシャル  ジオポテンシャル高度  時角  時圏 自然座標系  視太陽  主成分分析  湿球温度   湿球温度計  湿潤空気  湿潤断熱減率    湿数  質点  質量  射出率  射流  準拠楕円体  準地衡風近似  自由大気  自由対流 自由対流高度 自由度  終端速度  シュヴァルツシルトの式  重力  10種雲形  状態曲線  状態変数  状態方程式  状態量  常用日  常流  ショワルターの安定度指数  真太陽  診断式   

シアー渦度(shear vortisty)
 流線に垂直な方向に流線方向の速度差が存在する時に流体が持つ渦度をシアー渦度と呼ぶ。流線に平行な速度をu、流線に垂直な方向の距離をrとすると、シアー渦度ζsは、

ζs=∂u/∂r

で与えられる。渦度には、シアー渦度ζsのほかに、曲率渦度ζcがあり、両者の和ζc+ζsを相対渦度と呼ぶ。

ジェット気流巻雲(jet stream cirrus)
 ジェット気流の軸に沿ってジェット気流の赤道側に出現する巻雲。ジェット気流の方向と垂直な方向の巻雲のロール雲の列によって構成されている。


(http://www.weatheronline.co.uk/feature/aa270503.htmより)
ジオイド (geoid)
 平均海水面をもっとも良く近似する地球重力場の等ポテンシャル面をジオイド(面)と呼ぶ。ジオイド面は、あらゆる点において、局所鉛直線に垂直なので、鉛直線に沿って測定される標高の基準とされるとともに、地球重力場のモデルを意味する。ジオイド面の形態は準拠楕円体からの距離であるジオイド高により記載される。
ジオイド高 (geoid height)

 準拠楕円体から鉛直線に沿って計ったジオイド面までの距離。ジオイド高の値は比較的小さいが、地下に密度の大きな物質が存在すると,その上では重力は大きく,ジオイド高も高くなる。世界のジオイド高分布は以下のようである。最大値は約85mで、最小値はインド洋における約-106mである。


(http://dgfi2.dgfi.badw-muenchen.de/geodis/GRAV/Geoid.htmlより)

わが国におけるジオイド高分布は以下のようである。ジオイド高はわが国全域において正の値をとるが、中部山岳地域〜東北地方南部にかけて相対的に高く、九州および北海道地方が低い。

(http://www.jmc.or.jp/data/geoid.htmlより)

ジオポテンシャル (geopotential)

 地球重力場の中で単位質量の物体を高度0mから高度zmまで動かすのに必要な仕事量をジオポテンシャルと呼び、Φと表記する。即ち、
   
Φ=∫gdz
   0

である。ここで、g;重力加速度である。ジオポテンシャルは、地球重力場の中に存在する単位質量の物体が持つ高度0mを基準高度とする位置エネルギーである。

ジオポテンシャル高度 (geopotential height)

 ジオポテンシャルを平均重力加速度g0(=9.80665m/s2)で除した量をジオポテンシャル高度と呼び、Zと表記する。即ち、
                         
Z=Φ/g0=(1/g0)∫gdz
                          0
である。ジオポテンシャルZと実際の幾何学的高度zは、実用上は差はないとして、通常の大気運動では、

Φ=g0Z=g0z

として扱われる。

時角 (time angle)
 特定の恒星の南中後、地球が地軸の回りを回転した角度。天球上で天頂と当該恒星から天の北極を見込む角。当該天体の南中時の時角は0で、南中前は負、南中後は負の値となり、1時間に15°の割合で増加する。
時圏 (time zone)

 時刻帯とも言う。全世界を時間間隔1時間(経度幅15°)ごとに25の時圏に分けている。東経0°のグリニッジ子午線を挟む時圏をZと命名し、東半球の時圏には東経が15°増すに従ってA〜Mの名称を与え、西半球の時圏には西経が増すに従ってN〜Y名称を与え、時刻を表記する場合には時刻を表す数値の後ろに時圏名を付す。ちなみに、日本が所属する時圏はIである。時圏Zの標準時刻はグリニッジ標準時間に等しいので、世界時間00GMTと12GMTに実施されている高層気象観測の時刻は00Zおよび12Zと表記される。日本標準時の00JSTは00Iに等しく、09Zに等しい。

(http://aa.usno.navy.mil/faq/docs/world_tzones.htmlより)

自然座標系 (natural coordinate system)
 物体の移動方向に基づいて3つの座標軸の方向を定める直交座標系。下図のように、物体の位置を、物体の軌道を──で表し、物体は、その瞬間はにおける接線方向に速度で移動している時、軌道を含む面内に接線方向とそれに直交する方向に直交する軸を置き、物体の移動方向に単位ベクトルt、進行方向に向かって左方90°の方向に単位ベクトル、両方のベクトルに垂直な方向に単位ベクトルkを定める。

速さ|V|をVとすると、速度Vは、

V=Vt

と表され、加速度dV/dtは、

dV/dt=dV/dtt+V2/Rn

と表される。

視太陽 (apparent sun)
 ある瞬間に太陽軌道上に実際に存在している太陽を視太陽と呼ぶ。真太陽と言うこともある。
主成分分析 (principal component analysis)
 複数の変量(X1,X2,X3,...,XN)の計測値のばらつき傾向に基づいて、計測された変量を合成して相互の相関の無い少数の新たな変量(主成分:Z1,Z2,Z3,...,ZM)を作成し、それによって元の計測値の特性を記述するための多変量データ解析手法。
主成分(Z1,Z2,Z3,...,ZM)は、計測された変量(X1,X2,X3,...,Xn)から、以下のように合成される:

Z1=a11X1+a12X2+a13X3+.....+a1nXn
Z2=a21X1+a22X2+a23X3+.....+a2nXn
Z3=a31X1+a32X2+a33X3+.....+a3nXn
・・・・・
Zi =ai1X1+ai2X2+ai3X3+.....+ainXn
・・・・・
Zm=am1X1+am2X2+am3X3+.....+amnXn

ここで、係数aijは、固有ベクトルと呼ばれ、

ai12+ai22+ai32+.....+ain2=1

の条件下で、合成変量Ziの分散

{ai1(X1-X1)+ai2(X2-X2)+ai3(X3-X3)+.....+ain(Xn-Xn)}2/n

が最大になるように決定される。題意を満たす係数(固有ベクトル)aijは、ラグランジュの未定定数法を用いて、

G=(1/n){ai1(X1-X1)+ai2(X2-X2)+ai3(X3-X3)+.....+ain(Xn-Xn)}2-λ(ai12+ai22+ai32+.....+ain2-1)

と置き、Gのaijおよびλによる偏微分を全て0とするaijおよびλの値を求めることにより得られる。即ち、連立方程式

∂G/∂aij=(2/n)(Xj-Xj){ai1(X1-X1)+ai2(X2-X2)+ai3(X3-X3)+.....+ain(Xn-Xn)}=0

∂G/∂λ=-(ai12+ai22+ai32+.....+ain2-1)=0

を解くことに帰す。これを行列式を使用して表すと、次のような固有方程式となる。
|S11 S12 S13   S1i    S1n       |
|S21 S22 S23   S2i   S2n       |
|S31 S32 S33   S3i   S3n       |
|       ・・・・・             |     =0
|Si1 Si2 Si3   Sii   Sin        |
|       ・・・・・             |
|Sm1 Sm2 Sm3   Smi   Smn-λ |

ここで、Sii;分散・共分散であり、

Sii=(1/n)煤o(Xi-Xi)(Xj-Xj)}

で定義される。λを固有値と呼び、(ai1,ai2,ai3,,,,,,,ain)を固有ベクトルと呼ぶ。
分散・共分散行列を用いた主成分分析の手順をまとめると以下のようになる。
(1)先ず、分散・共分散を求める。
  すべての変数間の分散・共分散を求め、分散・共分散行列を作る。
(2)固有値を求める。
  固有ベクトルをX=(ai1,ai2,ai3,,,,,,,ain)と表わし、

  =λ・X

を満たす、固有値λを求める。具体的には、固有方程式

    |E|=0

から固有値λを求める。ここで、E:単位行列である。固有値は変量の数だけ求まる。
(3)次に、個々の固有値ごとに固有ベクトルを求める。
(4)固有ベクトルの成分に基づいて主成分負荷量を求める。

  主成分負荷量={√固有値}×固有ベクトルの成分/√説明変量の分散

である。主成分負荷量は、主成分と各変量の間の相関係数に一致し、主成分負荷量が1に近いほどその変量と主成分の関係が深いことを示している。
(5)寄与率を求める。
  主成分は変量の数だけ求まるので、固有値の大きい順に、第1主成分、第2主成分,,,,と呼ぶ。第1主成分から順に第2主成分、第3主成分と、それぞれの主成分がもとのデータをどれくらい説明しているのかを示す尺度として、寄与率が定義されている:

  寄与率=当該変数の固有値/固有値の合計

である。寄与率を第1主成分から順に累積したものを、累積寄与率と呼ぶ。主成分は変量の数だけ求まるが、一般には、累積寄与率が60%になるまでの主成分を採択する。
(6)主成分得点を求める。
  主成分の固有ベクトルの成分を用いて

  Zi =ai1X1+ai2X2+ai3X3+.....+ainXn

により、第i主成分得点を求める。各主成分得点の分散は、当該主成分の固有値と一致する。各主成分得点間の相関係数はいずれも0となり、お互いに独立である。
 各変量が異なる単位の変数からなっている場合には、分散共分散行列を用いることは好ましくない。この場合には、相関係数行列を用いる。

湿球温度 (wet-bulb temperature)
 湿球温度計の示度。湿球温度計の感温部に装着されたウィックwickのにおける蒸発の潜熱の消費により、湿球温度は乾球温度より低い。
湿球温度計 (wet-bulb thermometer)
 温度計の感温部を空気に直接暴露させないで、糸に水を浸した隙間の多い網状の布(通称ウィックwick)の網目を通過させた後に気温を測る温度計。水を含むのはウィックの糸のみで、糸の隙間は空気塊が自由に出入りできることが慣用であり、水を付けすぎて感温部を完全に水膜で覆ってしまうと、気温ではなく水温を測定してしまうので要注意。逆に、ウィックの糸が乾燥していまっては、感度の鈍い乾球温度計になってしまうので、こまめに給水する必要がある。このため、長時間の連続観測を行う場合には、ウィックの先端を長く伸ばして水を溜めたタンクに浸し、連続的に給水することがある。

空気に直接暴露させて気温を測る乾球温度計とセットで用いる場合、乾湿(球温度)計と呼ばれる。ウィックの網目を不飽和空気塊が通過する際に、ウィックの糸の水が蒸発して空気塊は飽和される。その際に蒸発の潜熱を奪われるので、湿球温度計の示度(湿球温度)は乾球温度計の示度(乾球温度)より低くなる。空気塊が最初から飽和している場合には、蒸発は起こらないので、湿球温度は乾球温度に等しい。
湿潤空気 (moist air)
 乾燥空気と水蒸気の混合気体。気象学では、湿潤空気をもって、地球大気を構成する現実の気体とする理論体系が構築されている。
湿潤断熱減率 (moist-adiabatic lapse rate)
 既に水蒸気で飽和されている空気塊が断熱的に上昇した場合に示す気温減率を湿潤断熱減率という。湿潤断熱減率は飽和している空気塊に熱力学の第1法則を適用して導かれる。水蒸気により飽和している単位質量の空気塊が断熱的に上昇すると、断熱冷却により温度が低下するのに連動して飽和水蒸気圧が低下するため、降温直前まで存在していた水蒸気の一部が凝結して雲粒子となり、混合比がdxs減少する場面に熱力学第1法則を当てはめると、以下のような表現が導かれる。

CpdT-RTd(p-E)/(p-E)+xsCwdT-xsR/εTdE/E=-Ldxs

ここで、Cp;乾燥空気の定圧比熱、T;気温、R;乾燥空気の気体定数、p;気圧、E;飽和水蒸気圧、xs;飽和混合比、ε;密度比(0.622)である。上式右辺は新たな凝結による潜熱の放出量を意味する。上式左辺は4項からなっているが、前半の2項が乾燥空気の断熱項と非断熱項、後半の2項が水蒸気の断熱項と非断熱項である。上式においてxsが掛かっている左辺第3および4項は著しく小さいので無視できる。また、左辺第2項のp-Eは、p>>Eであるので、pで置き換えることができる。従って、上式は

CpdT-RTdp/p=-Ldxs

と近似表現できる。両辺をCpで除し、zで微分すると、

dT/dz-(RT)/(Cpp)dp/dz=-(L/Cp)dxs/dz

となる。静力学方程式と状態方程式から

-(RT)/(Cpp)dp/dz=g/Cp

であり、かつ、混合比(比張)xsがεE/pと表現できることから、上式は

dT/dz+g=-(Lε/Cpp)dE/dz+(LεE/Cpp2)dp/dz

と変形できる。これの同類項を整理すると

dT/dz{1+(Lε/Cpp)dE/dT}=-Cp/g{1+(LεE/pRT)}

を得る。上式左辺{}の中のdE/dTにクラペイロン・クラジウスの式を当てはめると

dT/dz{1+(L2ε2E/CppRT2)}=-g/Cp{1+(LεE/pRT)}

を得る。従って、湿潤断熱減率を求める公式

-dT/dz=g/Cp{1+(LεE/PRT)}/{1+(L2ε2E/CppRT2)}

が得られる。100m上昇する際の新たな凝結量が異なるため湿潤断熱減率は一定値ではなく、乾燥断熱減率g/Cp(=0.976℃/100m)より小さく、飽和水蒸気圧Eがゼロの時に等しくなることが明らかである。例えば、
  -30℃ 0℃ 30℃
1013hPa 0.919℃/100m 0.652℃/100m 0.368℃/100m
1000hPa   0.650℃/100m  
900hPa 0.912℃/100m 0.629℃/100m 0.352℃/100m
800hPa   0.605℃/100m  
700hPa   0.579℃/100m  
600hPa   0.548℃/100m  

湿潤断熱減率は、低温で高圧なほど乾燥断熱減率に近づき、逆に、高温で低圧なほど小さくなる。上記の通り、湿潤断熱減率は気圧と気温の関数であるが、一般的な気象学の問題では、0.5℃/100mが仮定されることが多い。

湿数 (dew-point depression)
 気温と露点の温度差。露点差とも言う。高層気象資料では、湿数が3℃以下の場合は雲の中として解析する習慣がある。
質点 (mass point)
 質量のみを有し、大きさなどの質量以外の属性を持たない物体を、質点と呼ぶ。物体に作用する全ての力は質点に作用すると看做され、力が作用した結果生じる運動としては並進運動のみが考慮され物体の大きさや材質、回転や変形を考慮する必要はない。質点は、実在する物体の最もシンプルなモデルであり、質点そのものに対応する物質は実在しない。
質量 (mass)
 質量には2種類意の定義がある。
一つは、慣性質量である。物体が力Fを受けると、それに比例した加速度αが生じる。この時の比例定数mを質量と呼び、この関係は、以下の式

F=mα

で表され、運動方程式と呼ぶ。運動方程式は、質量mが小さい物体ほど力が作用する前の状態を継続する性質、即ち、慣性が大きく、逆に、質量mが大きい物体ほど慣性が小さいいことを意味するので、運動方程式を満足する質量mは、慣性質量inertial massと呼ばれる。
もう一つは、重力質量である。二つの物体は、万有引力の法則

F=Gm1m2/r2

に従い、互いに引き合う。ここで、F;物体1と物体2の間に生じる万有引力、G;万有引力定数、m1;物体1の質量、m2;物体2の質量、r;物体1と物体2の間の距離である。万有引力は物体1を地球、物体2を任意の物体とした場合にも成り立つので、地表面に存在する質量mの任意の物体は

F=m(GM/R2)

の力を地球の中心に向かって受ける。ここで、M;地球の質量、R;地球の中心から当該物体までの距離であり、このとき作用する力を、当該物体の重さ、あるいは重力、(GM/R2)を重力加速度と呼ぶ。この式は、質量mが大きい物体ほど大きな重力を受けることを意味するので、この式を満足する質量mは、重力質量gravitational massと呼ばれる。
慣性質量と重力質量は異なる定義であるが値は同一であるので、通常は区別することなく、質量と記載される。

射出率 (emissivity, emittance)
 物質の単位表面積から射出される放射エネルギーの大きさFはその物質の絶対温度Tの4乗に比例するが、現実の物質のもつ比例定数は黒体の比例定数σ(ステファンボルツマン定数)より小さいので、その比例定数をεσと表すことが行われる。即ち、

F=εσT4

であり、εは射出率または放射率と呼ばれる。射出率εは0〜1の値をとり、黒体の射出率εは1である。純粋な物質であれば射出率は物質固有の値を持つので、一旦当該物質の射出率が測定されれば、その後は当該物質が既知であればいちいち測定しなくとも射出率の値を知ることができる。この様に、物質固有の性質として扱える射出率をemissibityと呼ぶ。これに対して、物質が不純物を含んでいる場合の射出率はその都度測定しないとその値を知ることが出来ない。この場合の射出率をemittanceと呼ぶ。
物質に放射が照射されると、一部は吸収され、一部は透過し、残りは反射される。これらの量を照射されたエネルギーで除した値を、各々、吸収率a、透過率τ、反射率rと呼び、三者の和は常に1になる:

a+τ+r=1

物質の放射に対する特性は射出率ε、吸収率a、透過率τ、反射率rによって規定される。
物質の射出率εと吸収率aは、全く同じ値になることが知られている(キルヒホッフの法則)。
固体は透過率τがゼロである。従って、

反射率r=1-a=1-ε

である。
気体は気体粒子サイズより波長の長い放射に対しては反射率rがゼロである。従って、

透過率τ=1-a=1-ε

である。

射流 (supercritical flow)
 流速が波の進行速度よりも大きい流れ。フルード数Frが1より大きい。フルード数Frが1より小さい流れを常流と言う。常流から射流へは徐々に推移するが、逆に、射流から常流への推移は劇的な変化を伴い、その変化は跳ね水(ハイドロリックジャンプ)と呼ばれる。
準拠楕円体 (reference spheroid, reference ellipsoid)
 ジオイドを極めて良い精度で近似できる地球楕円体

(x2+y2)/a2+z2/c2=1

には様々なものが提案されているが、地球楕円体を実際の測量の基準として使用するためには、楕円体の中心を実際の地球上のどの位置に置き、その楕円体の座標軸が実際の地球のどこを通るかを決める必要がある。基準の位置と方向が決められた地球楕円体を準拠楕円体と呼ぶ。わが国では、準拠楕円体としてITRF座標系GRS80楕円体を採用し、

地点:東京都港区麻布台二丁目十八番一地内 日本経緯度原点金属標の十字の交点
経度:東経139度44分28秒8759
緯度:北緯  35度39分29秒1572
原点方位角:32度20分44秒756(日本経緯度原点において真北を基準として右回りに測定した茨城県つくば市北郷一番地内つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点の方位角)

を基準となる地点(日本経緯度原点)としている。ITRF座標系GRS80楕円体の方程式は、

(x2+y2)/6378137.002+z2/6356752.312=1

と表現され、日本経緯度原点は

x=-3959340.090m,   y=3352854.541m,   z=3697471.475m

と定められている。

準地衡風近似(quasi-geostrophic approximation)
 大規模な大気運動を扱う際に良い精度で成り立つ気圧座標系における支配方程式の近似で、風を地衡風vgと非地衡風vaに区分し、水平運動は地衡風成分vgのみで記載し、鉛直運動は非地衡風vaを用いずにω方程式により見積もられる鉛直p速度ωで記載する。準地衡風近似された気圧座標系における渦度方程式、熱力学第一法則およびω方程式は、それぞれ、以下のように表現される。

∂ζg/∂t+vg・∇(ζg+f)-f0∂ω/∂p=0

(∂/∂t+vg・∇)(∂Φ/∂p)-(RT0ω/p)∂ln(θ0)/∂p=0

〔-(RT0/p)∂ln(θ0)/∂p∇2+f022/∂p2〕ω=f0∂〔vg・∇(1/f02Φ+f)〕/∂p+∇2vg・∇(-∂Φ/∂p)〕

ここで、ζg;地衡風渦度、vg;地衡風ベクトル、f;コリオリパラメータ、f0;平均コリオリパラメータ、ω;鉛直p速度、Φ;ジオポテンシャル、R;乾燥空気の気体定数、T0;平均気温、θ0;平均温位、p;気圧、t;時間である。
自由大気 (free atmosphere)
 地表面の影響を受けない上層の大気。一般的には高度3000m以上の高度の大気を指す。自由大気はほぼ完全な地衡風である。
自由対流 (free convection)
流体内の温度差に起因する圧力差による流体の流動現象。
自由対流高度 (level of free convection)
 地上から上昇した空気塊の温位が周囲の大気の温位と同じになる高度。この高度以上に強制的に上昇された空気塊は周囲の空気より温位が高い状態になって浮力を得、以後は自由対流により上昇する。
自由度 (degree of freedom)
 1つの分子が内部エネルギーを持つことができる方法の数を自由度と呼ぶ。Heのような1原子分子の場合は、分子の重心のx方向、y方向、z方向の並進運動の自由度3のみである。N2やO2のような2原子分子の場合は、分子の重心の並進運動の自由度3に加えて、重心を中心とする回転が3つの自由度を持ちうるが、2原子を結ぶ軸の周りの回転運動は慣性モーメントが0でエネルギーを持ちえないので、回転運動の自由度は2となり、合計で自由度5である。H2Oのような3個以上の原子からなる分子の場合、並進運動と回転運動合わせて自由度6である。
終端速度 (terminal velocity)
 空中を落下する粒子は、下向きに受ける重量と上向きに受ける粘性抵抗がつりあって、一定速度で落下する。この時の速度を、終端速度と呼ぶ。
空中に存在する液体の水粒子には重力が作用するので、下方に落下しようとする。空中に存在する半径Rの液体の水粒子の体積Vは

V=(4/3)πR3

である。これに、水の密度ρw(=1000kg/m3)と空気密度ρ(=1.20kg/m3)の差と重力加速度g(=9.870655m/s2)をかけてやれば、空中に存在するこの液体粒子に作用する下向きの純浮力Fgが求まる:

Fg=4/3πR3w-ρ)g

実際には、ρw>>ρなので、下向きの純浮力は、当該水粒子が受ける重力mgで近似できる:

g=4/3πR3ρwg

この重力mgにより、水粒子には下向きの加速度が生じ、落下する。その落下速度をvとすると、この粒子は粘性抵抗Fr

Fr=6πηRv(CdRe/24)

を受ける。ここで、η;粘性係数(=1.73x10-5Nsm-2)、Cd;ドラッグ係数、Re;レイノルズ数(=ρvR/η)である。

落下速度vが小さければ、重力が勝るため、水粒子は加速されて落下速度は増大する。逆に、落下速度が大きければ、大きな粘性抵抗が生じるため、水粒子は減速されて落下速度は減少する。その結果、落下速度は、水粒子が受ける重力と粘性抵抗がつり合う速度、即ち、

g=Fr

を満たす速度v:

v=2ρwgR2/{9η(CdRe/24)}

に収束し、水粒子は一定速度で降下する。この落下速度が終端速度である。
レーノルズ数Reが小さい場合、即ち、水粒子の半径R<40μmの場合は、球の周りの流体の流れにおいて、

CdRe/24=1

が成り立ち、終端速度vは

v=2ρwgR2/(9η)=1.19x10-4R2 (m/s)

と表現され、落下水粒子の半径の自乗に比例する。ここで、Rはμm単位であり、この関係はストークスの法則と呼ばれる。
半径R>2mm(=1200μm)の場合は、レーノルズ数Reが大きくなり、ドラッグ係数Cdはレーノルズ数Re依存性を失い、ほぼ0.45の一定値をとることが実験的に明らかにされている。この場合の終端速度vは、半径Rの平方根に比例し

v=0.22R0.5 (m/s)

の実験式で表現できる。
半径Rが0.6mm(=600μm) 、および40μm の場合、それぞれ、

v=0.201R0.5 (m/s)

v=0.008R (m/s)

と表現される。
これらの実験式は半径Rのみの関数なので、水粒子は粒子の半径が決まれば決定される終端速度で等速度落下する。
上記の実験式に基づけば、例えば、
半径R=1μmの水粒子の終端速度は、0.000119m/s、
半径R=10μmの水粒子の終端速度は、0.0119m/s、
半径R=100μmの水粒子の終端速度は、0.80m/s、
半径R=1000μm(=1mm)の水粒子の終端速度は、6.36m/s、
半径R=10000μm(=1cm)の水粒子の終端速度は、22.0m/s、
半径R=100000μm(=10cm)の水粒子の終端速度は、69.6m/s
である。
従って、これらの水粒子は、この終端速度を上回る上昇気流があれば、空中にサスペンドされて地上には落下してこないが、終端速度を上回る上昇気流がなければ実際に地上まで落下して降水となる。
一般的に、空気中で凝結が起こって液体の水の粒子が生じる、即ち、雲が発生する領域には、上昇気流が存在するのが普通である。この雲域の平均的な上昇気流の速度は、数cm/sである。従って、半径100μm程度より小さな水粒子は、雲粒となって空中を浮遊し、それより大きな水粒子は、雨滴となって地上へ落下する。
典型的な雲粒の半径はR=10μmであり、大きな雲粒の半径はR=50μmである。
典型的な雨滴の半径はR=1000μm(=1mm)である。
大きな半径の雨滴は大きな終端速度を持ち得るが、落下速度が大きくなると、大きな空気抵抗を受けるために雨滴が破砕されてしまうため、地上に落下する雨滴の大きさには限界があり、約3mmを超えることはない。このため雨滴の終端速度も10m/sを超えることはまずない。
水粒子が凍っていれば、即ち、霰や雹であれば破砕されることなく落下する。

シュヴァルツシルトの式 (Schwarzschild's equation)
 入射角θで強度Iλの波長λの平行放射が入射する際の気層中の放射伝達方程式。層厚dzの気層中の路程secθdzに比例した減衰が生じると同時に、路程に存在する大気による新たな放射が付加された結果、気層下端での放射変化量dIλは、シュヴァルツシルトの式により

dIλ=-Iλkλρsecθdz+Bλ(T)kλρsecθdz

と表現される。ここで、ρ;密度、kλ;消散係数、Bλ;プランクの関数である。右辺第1項は気層による入射放射の減衰を表し、第2項は気層による放射の射出を表す。右辺両校に共通に出てくるkλρsecθdzは光学的路程と呼ばれるが、第1項では気層の吸収率を意味し、第2項では気層の射出率を意味する。二つの率が同じ値になるのはキルヒホッフの法則による。

重力 (gravity)
 地球の中心から単位質量の物体に作用する万有引力aと物体が地表面と同じ回転速度で地軸の周りを回転することにより受けている遠心力−Ω×(Ω×r)の合力

g=a−Ω×(Ω×r)

を重力という。象学では、の向きはaの向きと同じで地球の中心方向(−z方向)であり、の大きさは|a−Ω×(Ω×r)|とする。即ち、重力を成分表示すると、

g=( 0, 0, −g)

である。ここで、gは重力加速度(m/s2単位)である。重力加速度は、緯度φと標高h(m)に依存しており、地球に最もよく似た形(地球楕円体)で計算した(正規重力)

g=9.780385{1+0.0053024sin2(φ)-0.0000059sin2(2φ)}

に、大気補正(大気の底で使えるように大気引力を引く)

0.000087-0.00000000956h

および標高補正

0.00003067h

を減じて得られ、

g=9.780385{1+0.0053024sin2(φ)-0.0000059sin2(2φ)}-(0.000087-0.00000000956h)-0.00003067h

である。
しかしながら、赤道と極点における重力加速度の差および地表面と標高20kmにおける重力加速度の差は、いずれも、約0.05m/s2程度なので、一般的な気象学的な問題においては、重力加速度は地球大気系中において一定として扱われ、標準重力加速度9.80665m/s2が用いられる。

10種雲形(ten basic cloud forms, ten cloud genera)
 雲を雲の形と高度によって分類できるが、現在では、イギリス人のLuke Howerd氏(1772 - 1864)がcirrusやcumulus、stratusというラテン語を用いて最初に提唱したた雲形に基づいて、世界気象機関(WMO)が国際雲図帳(International Cloud Atlas)で定義した用語が用いらている。特定の高度に出現する雲を層状雲と呼び、上層雲、中層雲、下層雲と区別される。上層雲にはcirroという接頭語を付け、中層雲にはaltoという接頭語を付ける。更に、層状雲はその形態に基づいて、層状に広がる雲stratus団塊状の雲cumulusに区分される。雨をもたらす雲にはnimboという名前を付ける。乱層雲nimbostratusは、いわゆる雨雲で、下層雲高度に現れることが多いが、中層雲高度に現れることもある。雲底は下層雲と同じ高度だが、鉛直方向に発達して雲頂は中層雲や上層雲と同じ高度になる雲を対流雲と呼ぶ。好天時に現れる対流雲を積雲cumulusと呼び、鉛直方向に発達して降水を伴うようになると積乱雲cumulonimbusと呼ばれる。

 

 形

出現高度

 

層 状

団塊状


 層

 

 


上層雲

巻  雲 cirrus

6000m以上

氷晶

巻層雲 cirrostratusu

巻積雲 cirrocumulus


中層雲

高層雲 altostoratus

高積雲 altocumulus

2000 6000m

 

乱層雲 nimbostratus

 


下層雲

乱層雲 nimbostratus

 

2000m以下

水滴

層 雲 stratus

層積雲 stratocumulus


積乱雲 cumulonimbus

雲底は下層雲と同じ

 

       積 雲 cumulus

状態曲線(ascension curve)
 エマグラム等の断熱図上にラジオゾンデ等で観測された気温や露点の鉛直プロファイルを記入して得られる曲線を状態曲線と呼ぶ。観測地点上空の大気の鉛直構造を示している。
状態変数(state variable, state parameter, thermodynamic variable)
 巨視的な物質系または場の状態だけで一意的に決まり、過去の履歴や経路には依存しない物理量のことである。状態変数同士の関係を表す数式を状態方程式といい、その変数という意味から状態変数という名がある。
 
圧力p、温度T、比容αの3者が代表的な状態量(状態変数)である。状態量(状態変数)圧力p、温度T、比容α同士の間には,状態方程式と呼ばれる数式

f(p,T)=0

によって示される関係が存在する。このため、状態量(状態変数)圧力
p、温度T、比容αのうちの2者が既知であれば、残りの1者は必然的に定まる。つまり、状態量は2種の状態量の関数である。これらの代表的な状態量(状態変数)圧力p、温度T、比容αだけでなく、2種の状態変数の関数でその微分が完全微分形になるも、状態量ということになる。
 状態量xyの関数f(x,y)は状態量である。この関数f(x,y)の全微分df

df=(f/x)dx+(f/y)dy

となる。今、ある物理量uの微小変化du

du=adx+bdy

と表されるとき、

a/y=b/x

であることが、物理量uが状態量であることの必要充分条件である。なぜならば、微小変化duが関数u(x,y)の全微分であるならば、

a=u/x

b=uy

なければならないので、これらを、それぞれ、yおよびxで偏微分すると

a/y=(u/x)/y=2u/xy

b/x=(u/y)/x=2u/xy

となり、両者が等しくなることが明らかである。従って、

a/y=b/x

であることが、物理量uが状態量であることの必要充分条件であることが明らかである。
 状態量(状態変数)は、示量変数
(extensive variable)と示強変数(intensive variable)に大別される。
 示量変数(extensive variable)は、系の大きさに比例する状態量(状態変数)であり、その値を知るためには、系を微小部分に分割して、各分割ごとに求めた状態量(状態変数)の値を積算する必要がある。代表的な示量変数として、体積、質量、エントロピー、エンタルピーなどを挙げることができる。
 示強変数(intensive variable)は、系の中一箇所で把握できる状態量(状態変数)である。代表的な示強変数として、圧力、密度、濃度、温度、化学ポテンシャルなどを挙げることができる。
 一般に物理学の諸法則は、示量変数と示強変数を区別することなく記述されているが、気象学の分野では示量変数を把握(観測)することは困難なので、気象学の諸法則は、原則すべて示強変数のみで記述されている。

状態方程式(equation of state)
 気象学では乾燥空気を理想気体として扱い、乾燥空気の状態方程式を

pv=(n/m)R*T

と表す。ここで、p;気圧(Pa)、v;体積(m3)、n;存在する空気の質量(kg)、m;分子量(28.966)、R*;普遍気体定数(8134J/K)、T;絶対温度(K)。
質量nや体積vは示量変数(extensive variable) なので気象学的な観測では知り得ない。そこで、気象学では上記の状態方程式を変形して、気象観測で把握できる示強変数(intensive variable)による以下のような表現とする:

p=(n/v)(R*/m)T=ρRT。

ここで、ρ;密度、R;乾燥空気の気体定数(287m2/s2/K)。
状態方程式の第一の利用法は密度の計算:気象学では密度は直接測定せず、気圧pと気温Tの測定値からρ=p/(RT)により求める。

状態量(state variable, state parameter, thermodynamic variable)
 巨視的な物質系または場の状態だけで一意的に決まり、過去の履歴や経路には依存しない物理量のことである。状態量同士の関係を表す数式を状態方程式といい、その変数という意味から状態変数ともいう。
 
圧力p、温度T、比容αの3者が代表的な状態量(状態変数)である。状態量(状態変数)圧力p、温度T、比容α同士の間には,状態方程式と呼ばれる数式

f(p,T)=0

によって示される関係が存在する。このため、状態量(状態変数)圧力
p、温度T、比容αのうちの2者が既知であれば、残りの1者は必然的に定まる。つまり、状態量は2種の状態量の関数である。これらの代表的な状態量(状態変数)圧力p、温度T、比容αだけでなく、2種の状態変数の関数でその微分が完全微分形になるも、状態量ということになる。
 状態量xyの関数f(x,y)は状態量である。この関数f(x,y)の全微分df

df=(f/x)dx+(f/y)dy

となる。今、ある物理量uの微小変化du

du=adx+bdy

と表されるとき、

a/y=b/x

であることが、物理量uが状態量であることの必要充分条件である。なぜならば、微小変化duが関数u(x,y)の全微分であるならば、

a=u/x

b=uy

なければならないので、これらを、それぞれ、yおよびxで偏微分すると

a/y=(u/x)/y=2u/xy

b/x=(u/y)/x=2u/xy

となり、両者が等しくなることが明らかである。従って、

a/y=b/x

であることが、物理量uが状態量であることの必要充分条件であることが明らかである。
 状態量(状態変数)は、示量変数
(extensive variable)と示強変数(intensive variable)に大別される。
 示量変数(extensive variable)は、系の大きさに比例する状態量(状態変数)であり、その値を知るためには、系を微小部分に分割して、各分割ごとに求めた状態量(状態変数)の値を積算する必要がある。代表的な示量変数として、体積、質量、エントロピー、エンタルピーなどを挙げることができる。
 示強変数(intensive variable)は、系の中一箇所で把握できる状態量(状態変数)である。代表的な示強変数として、圧力、密度、濃度、温度、化学ポテンシャルなどを挙げることができる。
 一般に物理学の諸法則は、示量変数と示強変数を区別することなく記述されているが、気象学の分野では示量変数を把握(観測)することは困難なので、気象学の諸法則は、原則すべて示強変数のみで記述されている。

常用日(civil day)
 平均太陽日を真夜中の24時(即ち0時)を日界として表したものを常用日と呼ぶ。
常流 (subcritical flow)
 流速が波の進行速度よりも小さい流れ。フルード数Frが1より小さい。フルード数Frが1より大きい流れを射流と言う。常流から射流へは徐々に推移するが、逆に、射流から常流への推移は劇的な変化を伴い、その変化は跳ね水(ハイドロリックジャンプ)と呼ばれる。

 

ショワルターの安定度指数(Showalter's stability index)
 850hPa面高度(高度約1500m)から500hPa面高度(約5500m)までの気層の安定度を示すために用いられる指数。500hPa面高度(約5500m)の気温T500から、850hPa面高度(高度約1500m)にある空気塊を断熱的に500hPa面高度(約5500m)まで上昇させた時に当該空気塊が示す温度T'850を引いた値、即ち、T500-T'850として定義される。850hPa面高度(高度約1500m)にある空気塊を乾燥断熱減率で上昇させると、通常は、500hPa面高度(約5500m)に到達する前に持上げ凝結高度に達し、水蒸気により飽和された状態になる。持上げ凝結高度以高500hPa面高度(約5500m)までは湿潤断熱減率で上昇させる。
 ショワルターの安定度指数T500-T'850が正の値を示す場合は大気は安定であることを意味し、逆に負の値を示す場合は不安定であることを意味する。
真太陽 (true sun)
 ある瞬間に太陽軌道上に実際に存在している太陽を真太陽と呼ぶ。視太陽と言うこともある。
診断式 (diagnostic equation)
 複数の気象要素間の関係を規定する支配方程式のうち、時間変化項を含まないものを、診断式と呼ぶ。診断方程式と呼ぶこともある。
 例えば、状態方程式

p=ρRT

は、典型的な診断式である。ここで、p;気圧、ρ;密度、R;乾燥空気の気体定数、T;気温である。密度の予報値は、通常は、状態方程式を利用して、気圧および気温の予報値から、

ρ=p/RT

として得られる。
 時間変化項を含む支配方程式は予報式と呼ばれる。

中川用語集            ←し→