中川用語集
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オイラーの方法  オゾン層  オゾンホール  ω方程式  温位  温位勾配  温室効果  音速  温度風 

オイラーの方法(Eulerian description)
流体の運動を記載したり測定したりする際に、オイラーの方法とラグランジュの方法の2種類の方法がある。オイラーの方法は、空間や地表面に固定された点における流れを記載したり測定したりする方法であり、ラグランジュの方法は、流体の特定の微小部分要素を追跡しながらその要素に作用する力とその効果を記載したり測定する方法である。流体力学の諸法則が必要とする物理量の時間変化率はラグランジュの方法により記載される量であるが、一般に気象学等の現場において取得される物理量の時間変化率はオイラーの方法により測定された量であるので、両者の対応関係を把握しておくことが極めて重要である。一般にラグランジュの方法により記載される物理量ψの時間変化率を実質変化とよびdψ/dtと表し、オイラーの方法により測定される物理量ψの時間変化率を局所変化とよび∂ψ/∂tと表すと、x、z、tの関数であるψを全微分することにより、両者には、

dψ/dt=udψ/dx+vdψ/dy+wdψ/dz+∂ψ/∂t

の関係があることが導かれる。この式を∂ψ/∂tについて解くと、

∂ψ/∂t=dψ/dt-udψ/dx-vdψ/dy-wdψ/dz

と表現される。この式は、固定点で観測れれる物理量の時間変化∂ψ/∂tは、実際に発生した物理量の時間変化dψ/dtと上流から移流の効果(移流項)-udψ/dx-vdψ/dy-wdψ/dzの和となることを表している。

オゾン層(ozone layer, ozonosphere)
 高度11〜50kmに及ぶ成層圏の中層20〜25km付近に存在するオゾン濃度が高い気層をオゾン層と呼ぶ。成層圏は高度とともに気温が上昇する極めて安定な気層により特徴付けられるが、その特徴的な温度成層はオゾンによる紫外線の吸収によりもたらされている
 地球大気中においてオゾンは微量成分の一つに過ぎないが、多くの大気組成が高高度ほど低濃度となる鉛直分布を示すのに対して、極めて特徴的な鉛直分布を示す。下図は地球大気中のオゾン濃度の典型的な鉛直分布である。

(http://www.wmo.ch/web/arep/reports/ozone_2002/11_q&as.pdfより)

 大気中のオゾンの大部分は高度20〜25kmの成層圏中層に位置するオゾン層に集中的に存在する。オゾン層中のオゾン濃度のピークは30mPa程度である。成層圏のオゾンは、地球酸素層の上端部に浸透する日光に含まれる0.24μmより短波長の紫外線により解離された酸素原子が他の酸素分子と化合して形成される。つまり、材料である酸素分子は大気下層から供給され、紫外線は大気上端から供給される格好なので、結果的にその両方が十分な量存在する高度20〜25kmの熱帯成層圏中層にオゾン層が形成されることになる。そのオゾン層上部が0.24μmより長波長で0.32μmより短波長の紫外線を吸収して昇温するため、オゾン層上部に相当する成層圏上層が高温という成層圏を特徴付ける温度成層が形成される。
 成層圏のオゾンは絶えず成層圏中の化学物質、特に塩素と臭素を含むガスと化学反応し、オゾン分子が破壊され他の混合物が作り出されれる。 その結果、成層圏におけるオゾン生産は、化学反応におけるオゾン破壊とバランスしている。
 成層圏オゾンのごく一部が対流圏に輸送されて、特に人為的な活動が小さい非汚染域の地表面近傍のオゾン量に影響を及ぼす。一方、化石燃料の燃焼に伴い環境に排出される炭化水素や酸化窒素ガスに日光が照射されるとオゾンが生産されるが、地表面近傍におけるオゾン生産量は成層圏オゾンの生産量に比べて著しく小さい。対流圏オゾンも、成層圏オゾンと同様に、人為的化学物質、特に塩素と臭素を含むガスと化学反応し、オゾン分子が破壊され他の混合物が作り出されれる。
オゾンホール(ozone hole)
 極地域の極夜明けに一時的にオゾン全量が他の地域に比べて著しく小さい領域が穴状に出現する現象をオゾンホールと呼ぶ。
 大気全層に含まれるオゾンのみを集めて1気圧、0℃の状態にした場合に示す層厚をオゾン全量と呼び、通常はドブソン単位(DU)で示される。かつては、オゾン全量は地上に設置されてドブソンオゾン計を用いて計測されるのが一般的であったが、衛星軌道上における紫外線域6波長の太陽入射光と地球大気によるその後方散乱の測定するTOMS(total ozone mapping spectrometer)を搭載さしたNimbus-7衛星(1978年10月24日打上げ)が観測を開始した1978年10月31日以降、オゾン全量の全球高分解能分布図を毎日求めることが可能となった。南極地域上空のTOMSの解析結果を整理した結果、南極地域の極夜明け(9〜10月)に一時的にオゾン全量が他の地域に比べて著しく小さい領域が穴状に出現する現象が発生することが見出され、オゾンホールと命名された。次の図は、南極地域の極夜明け(10月)の月平均オゾン全量分布図である。


(http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/10/img/p12.gifより)

 通常、オゾン全量が220DU以下の領域をオゾンホールと呼ぶ。TOMS観測開始当初の1979年には出現しなかった220DUを下回る著しくオゾン全量が少ない領域(青色領域)が1980年代後半から出現するようになり、中心部のオゾン全量の値が長期的に減少傾向にあるとともにその面積は長期的拡大傾向にある。
 オゾンホール内のオゾン密度の鉛直分布を測定するためには、かつては、オゾンホールの中でオゾンゾンデを飛揚して測定するほかなかったが、現在では衛星観測により知ることができる。下の図は2003年4月〜2003年10月25日の間正常運用されたわが国の環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II:Advanced Earth Observing Satellite-II)に搭載された改良型大気周縁赤外分光計II型 (ILAS-II:Improved Limb Atmospheric Spectrometer-II)により測定された同年の南極上空のオゾンホール内におけるオゾン密度の鉛直分布である。

   (http://www.nies.go.jp/osirase/koramu/051005/zu.gifより)

高度17kmにオゾン密度のピークを持つ明瞭なオゾン層が形成されていたが、2003年9月初旬以降徐々にオゾン層部分のオゾン密度が減少し始め、10月中旬には他の高度よりオゾン密度が高いオゾン層が消失し、10月上旬にはオゾン層高度のオゾンがほぼ完全に消滅していることが示されている。オゾン全量の空間分布に現れるオゾンホールは、オゾンホール内のオゾン層高度のオゾンがほぼ消滅することにより出現することが直接示唆されている。ADEOS-IIが故障しなければ、この後、オゾン層が復活してオゾンホールが消滅する過程のオゾン密度プロファイルの変化も観測できたものと予測される。
 地球大気中のオゾンは熱帯の成層圏で生成されており、極域の大気中では生成されない。従って、オゾンホールの生成・消滅という現象にからむオゾンは、熱帯成層圏から大気大循環により極域に輸送されてきたものでなくてはならない。下図はオゾンホール生成が開始時期に相当する2004年9月4日にAura (EOS Chemistry-1)衛星搭載のマイクロ波リムサウンダー(MLS:Microwave Limb Sounder)により測定された南極地域上空のオゾン、気温、一酸化塩素ClO、硝酸HNO3、塩酸HCl、水蒸気H2Oの分布を比較したものである。


(http://svs.gsfc.nasa.gov/vis/a000000/a003000/a003062/a003062_print_gal.jpgより)

上図によると、オゾンホールが形成される9月上旬において、オゾンの極大域の南極側縁は極渦と呼ばれる西風ジェット気流で限られており、極渦内にオゾンホールが形成されており、オゾンホールの領域は、一酸化塩素ClO、硝酸HNO3、塩酸HCl等が周辺領域に比べて穴状に少なく、著しく低温であり、水蒸気H2Oは多いことが、明瞭に読み取れ、これらがオゾンホールの形成と互いに密接な関係を有していることが示唆される。
 オゾンホールの外縁が極渦と呼ばれる西風ジェット気流軸と一致していることから分かるように、オゾンホールは熱帯成層圏からのオゾン移流をジェット気流が遮断している間に、極域内でオゾンが大量に破壊されることにより発生する。極域内でオゾンを破壊するのは同域内成層圏で紫外線により破壊されたフロンガスから分離した塩素原子Clである。フロンガスは、炭素Cの周りにフッ素Fと塩素Clが結合した人工的な化合物で、絶縁性があり極めて安定した物質で、燃えたり爆発したりせず人体にも無害であるため、カーエアコン、ルームエアコン、冷蔵庫などの冷媒や、整髪料のムースなどの発泡剤、ICチップの洗浄剤などとして大量に使用されてきた。使用後環境に放出されたフロンガスが大気大循環に乗って成層圏オゾン層に達っして強い紫外線に曝され分解されて生じた塩素原子ClがオゾンO3と反応して一酸化塩素ClOが発生する:

Cl + O3 → ClO + O2

次に、この一酸化塩素ClOが同じく紫外線によって酸素分子O2が分解されて生じた酸素原子Oと反応して、再び塩素原子Clを生じる:

ClO + O → O2 + Cl

この塩素原子Clが別のオゾンO3と反応して新たな一酸化塩素ClOが発生し、以後同じ反応が繰り返され、塩素原子Clと一酸化塩素ClOは生成消滅を繰り返すだけだが、全体として 

O3 + O → 2O2 

の反応が進行してオゾン層破壊に至る。この反応は硝酸三水和物HNO3・3H2Oや氷を主成分とする極域成層圏雲PSCが生成されるほど低温であるほど進行しやすく、塩素原子Clおよび一酸化塩素ClOは触媒として作用している。
 低温な環境は冬に出現するが、最も低温な真冬には強いジェット気流が形成され低緯度地方からのオゾンの移流は阻害されるものの、日射の無い極夜となり紫外線が入射しないため、フロンの破壊に伴う塩素原子Clの放出が生じないので急激なオゾンの破壊は進行しない。極夜明けには、真冬からの強いジェット気流と極低温は継続されたままの状態のところへ入射する紫外線により破壊されたフロンから放出される塩素原子Clがオゾンを攻撃し破壊するため、オゾンホールが形成されるのに最適な環境が出現する。夏になると気温が上がるとともにジェット気流が弱まり、低緯度地方から新たなオゾンが移流してくるため、オゾンホールは消滅する。
ω方程式(ω equation)
準地衡風近似された気圧座標系において、大気の鉛直運動を規定する式。気圧座標系における渦度方程式と熱力学第一法則を組み合わせ渦度の時間変化項を消去することにより導かれ、以下のように表される。

〔-(RT0/p)∂ln(θ0)/∂p∇2+f022/∂p2〕ω=f0∂〔vg・∇(1/f02Φ+f)〕/∂p+∇2vg・∇(-∂Φ/∂p)〕

ここで、vg;地衡風ベクトル、f;コリオリパラメータ、f0;平均コリオリパラメータ、ω;鉛直p速度、Φ;ジオポテンシャル、R;乾燥空気の気体定数、T0;平均気温、θ0;平均温位、p;気圧、t;時間である。
ω方程式の左辺は、鉛直p速度ωの空間方向の2階微分だけから成っている。鉛直p速度ωは大気中層で最大で大気上下端でほぼ0となる分布をしており、ω方程式の左辺はωの逆符号に比例する。ωは鉛直風速wとは逆符号であるから、ω方程式の左辺は、下降気流の強さを表していることになる。即ち、ω方程式の右辺の値が正であれば下降気流の存在が示唆され、負であれば上昇気流の存在が示唆される。
ω方程式の右辺は鉛直p速度を強制する2項から成っている。ω方程式の右辺第1項はdifferential vorticity advectionと呼ばれ、絶対渦度の移流の高さ方向の増加率に 比例する。渦度移流は大気下層で小さく大気中層で最大であるので、ω方程式の右辺第1項は事実上大気中層の渦度移流場により決定される。例えば、地上の高気圧の上空では正の渦度が移流してくるので、大気上層ほど(気圧pが小さくなるほど) 

vg・∇(1/f02Φ+f)<0 

の状態であるから、気圧pが増加する方向(上層から下層の方向)の変化率は

∂〔vg・∇(1/f02Φ+f)〕/∂p<0

となる。従って、この強制により鉛直p速度はω>0となり、鉛直流は下降流(w<0)となる。地上の低気圧の上空ではこの逆で、鉛直流は上昇気流(w>0)となる。
ω方程式の右辺第2項は、(-∂Φ/∂p)の移流vg・∇(-∂Φ/∂p)の2階微分からなっており、(-∂Φ/∂p)の移流vg・∇(-∂Φ/∂p)の逆符号に比例する。-∂Φ/∂p=1/ρ=RT/pなので、ω方程式の右辺第2項は、温度移流に比例する。例えば、地上の低気圧前面下層では暖気が流入するので、

vg・∇T<0

の状態であるから、

-vg・∇(-∂Φ/∂p)>0

であり、

2vg・∇(-∂Φ/∂p)〕>0

となる。従って、この強制により鉛直p速度はω<0となり、鉛直流は上昇流(w>0)となる。地上の低気圧後面下層ではこの逆で、寒気が流入するので、鉛直流は下降流(w<0)となる。また、地上の高気圧前面下層では寒気が流入するので、鉛直流は下降流(w<0)となり、地上の高気圧後面下層では暖気が流入するので、鉛直流は上昇流(w>0)となる。
結果として、鉛直p速度を強制するω方程式右辺の2項の相乗効果により、地上の低気圧前面では上昇気流が強くなり、地上の高気圧前面では下降気流が強くなることになる。
温位(potential temperature)
気圧pの場所で測定された気温Tの空気塊を断熱的に気圧1000hPaの場所に移動させた時に空気塊が示す温度を温位と定義し、θと表記する。現代であれば、ポテンシャル温度と邦語訳される可能性が大きい。断熱変化している空気塊の気圧pと気温Tは、ポアソンの式、

Tp-R/Cp=const.

を満たすので、

Tp-R/Cp=θ1000-R/Cp

が成り立つ。ここで、Cp;乾燥空気の定圧比熱、R;乾燥空気の気体定数である。上式をθについて解くと、温位θの定義式

θ=T(1000/p)R/Cp

が得られる。R/Cpは温位指数と呼ばれ、その値は0.2857である。
温位
θは、水蒸気の相変化を伴わない限り、断熱過程において保存される。温位θの鉛直変化率∂θ/∂zが負の値を取る時、当該大気層は絶対不安定である。

温位勾配(vertical gradient of potential temperature)
温位θの高度変化率のことで、通常、∂θ/∂zと表記される。気温減率-∂T/∂zとの間には、

∂θ/∂z=θ/T(∂T/∂z+g/Cp)

の関係が存在する。ここで、;重力加速度、;定圧比熱であり、は乾燥断熱減率を意味する。
鉛直軸に気圧pを用いる場合には、∂θ/∂pを用い、温位の気圧勾配(pressure gradient of potential temperature)と呼ぶ。温位の気圧勾配の定義式は、

∂θ/∂p=θ{(1/T)∂T/∂p-R/(Cpp)}

となる。
温位勾配は鉛直方向だけでなく、水平方向にも存在し、温位の水平勾配(horizontal gradient of potential temperature)と呼ぶ。x軸方向の温位の水平勾配の定義式は、

∂θ/∂x=θ{(1/T)∂T/∂x-(R/Cp)∂ln(p)/∂x}

となる。
温室効果 (greenhouse effect)
灰色大気の放射平衡モデルにおける平衡地表面温度Tsと平衡地上気温Taは、それぞれ、

Ts4=(I0/4σ)(1-α)(τs/2+1)

Ta4=(I0/8σ)(1-α)(τs+1)

と表せる。ここで、I0;太陽定数、σ;ステファンボルツマン定数、α;惑星アルベド、τs;大気層の光学的厚さである。大気が存在しない場合の平衡地表面温度Teは、大気層の光学的厚さがτs=0であるから、

Te4=(I0/4σ)(1-α)

と表せる。従って、平衡地表面温度Tsと平衡地上気温Taは、大気が存在しない場合の平衡地表面温度Teを用いて、それぞれ、

Ts4=(τs/2+1)Te4

Ta4=(1/2)(τs+1)Te4

と表されるので、大気が存在して大気の大気層の光学的厚さτsが増加するに従って、平衡地表面温度Tsと平衡地上気温Taは大気が存在しない場合より大きくなる。この効果は温室効果と呼ばれている。
大気層の光学的厚さを大きくする働きのある気体を温室効果気体と呼ぶ。地球大気中の温室効果気体としては、水蒸気、二酸化炭素、オゾン、メタン、フロン等が重要である。
音速(sound velocity)
空気中を圧力の変動が波動として伝わる対気速度のこと。一般にcと表記する。
断熱運動をしている水平1次元の大気中の運動方程式、連続の式および熱力学第一法則(ポアソンの式)は、それぞれ、

du/dt+1/ρdp/dx=0

∂ρ/∂t+∂(ρu)/∂x=0 → dρ/dt+ρ∂u/∂x=0 → d(lnρ)/dt+∂u/∂x=0

T・p-R/Cp=const → pCv/Cp・ρ-1=const → ρ=const pCv/Cp

と表記できる。上記の連続の式にポアソンの式を代入すると、

Cv/Cpd(ln p)/dt+∂u/∂x=0 → dp/dt+Cp/Cvp∂u/∂x=0

となる。運動方程式とこの式に、摂動法を適用して、

p=p+p'

u=u+u'

ρ=ρ
 
とすると、

d
u/dt+1/ρdp/dx+du'/dt+1/ρdp'/dx=0

dp/dt+Cp/Cvpu/∂x+dp'/dt+Cp/Cvp'∂u/∂x+Cp/Cvp∂u'/∂x+Cp/Cvp'∂u'/∂x=0

となる。3つの支配則は平均値についても成り立つので、

d
u/dt+1/ρdp/dx=0

dp/dt+Cp/Cvpu/∂x=0

であり、かつ、

u/∂x=0

であり、さらに Cp/Cvp'∂u'/∂x は2次の摂動なので極小と見なせるので、

du'/dt+1/ρdp'/dx=0

dp'/dt+Cp/Cvp∂u'/∂x=0

である。2つ目の式を、更に、時間tで微分すると、

d2p'/dt2+Cp/Cvpd(∂u'/∂t)/dx=0

これに
1つめの式を代入すると、

d2p'/dt2+Cp/Cvp/ρd(-dp'/dx)/dx=0

が得られる。この式を満足する気圧の摂動が波動であると仮定し、、

p'=A exp〔ik(x-ct)〕

と置くと、
上記の摂動方程式は、

-k22p'+Cp/Cvp/ρk2p'=0

となる。従って、

2=Cp/Cvp/ρ=Cp/CvRT

となり、音速
は気温Tの平方根に比例する。Cp=1004、Cv=717、R=287なので、音速c(m/s)は、

c=20.05T0.5

と表現できる。

温度風(thermal wind)
2高度間の地衡風の差を温度風と呼ぶ。高度z1、z2における地衡風を、それぞれ、12とすると、温度風は、

2-1=(R/f(∂T/∂y)ln(p2/p1), -R/f(∂T/∂x)ln(p2/p1))

と成分表示できる。この式から、温度風の性質として、
(1)等温線に平行に吹く
(2)低温側を左に見て吹く
(3)風速は温度勾配に比例する
ことが指摘される。

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