日出 (sunrise)
太陽が東の地平線から天空に出てくること。日の出とも言う。通常の天文学的な計算においては、太陽の中心(日心)が地球の中心を通る天文学的地平線(天の地平線)を超える瞬間、即ち、太陽高度角がゼロの瞬間を日出とする。太陽高度角αは、
sinα=sinφsinδ+cosφcosδcos(h)
により定まる。ここで、φ;観測地点緯度、δ;当該日の太陽赤緯、h;時角である。日出時は太陽高度αがゼロであるので、日出時の時角をH(<0)とすると、
0=sinφsinδ+cosφcosδcos(H)
なので、日出時の時角Hは、H=-tan-1(-tanφtanδ)
である。
しかしながら、厳密には、太陽の光球の上端が眼視地平線に達した瞬間が日出である。太陽高度角αの式を太陽高度αで微分すると、1rad太陽高度の太陽高度変化に要する時角変化
dh/dα=-cosα/{cosφcosδsin(h)}
が得られる。日出時にはα=0、およびh=H≒-90°だから、上式は、
dh/dα≒1/{cosφcosδ}
となる。即ち、日出時近傍の太陽高度変化に要する時間は、低緯度ほど小さく、春分の日秋分の日に最小となり、最小値の時は、太陽高度の変化と時角の変化が等しい。時角1秒に対応する時角は0.0028°(=15°/3600秒)なので、日出時刻を正確に推定するためには、太陽の光球の上端が眼視地平線に達した瞬間の地球の中心を通る天文学的地平線(天の地平線)上の太陽高度角を0.001°の精度で見積もる必要がある。
太陽の光球の上端が眼視地平線に達した瞬間の地球の中心を通る天文学的地平線(天の地平線)上の太陽高度角は、
−眼高差−大気差−視半径+地心視差
である。
眼高差は、観測者が海面より高い位置にいることおよび地球大気中の光の屈折による地平線高度角の減少である。眼高h(m)の時の地平距離が
√(13h) (km)
と近似されるので、眼高差は
tan-1{h/(1000×√(13h)}
と見積もれる。h=4.6mとすると、約0.034°である。勿論、h=0mであれば、眼高差は存在しないことになる。
大気差は地球大気外からの光線の屈折による太陽の高度角の減少である。太陽の位置計算の際の大気差補正を行うための近似として以下のようなものが提案されており、太陽高度0°の大気差は0.482°(=1735/3600)と見積もられる。
太陽高度 |
大気差補正の近似式 (°)
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85° to 90° |
0
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5° to 85° |
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-0.575° to 5° |
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< -0.575° |
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(http://www.106.us/gb/astro/Solar/より)
眼高差および大気差は、いずれも、眼視地平線を天文学的地平線より低下させる。
視半径は地球から日心と太陽光球上端を見込む角である。日出時の太陽高度は太陽光球上端より視半径だけ減少する。地心太陽距離が約1億4960万kmあるのに対して太陽の光球の半径は約69万kmなので、太陽の視半径は約0.264°(=tan-1(69/14960)であるから、日出時には日心は眼視地平線下約0.264°に位置する。
地心視差は、地球の中心を通る天文学的地平線(天の地平線)上の太陽高度角と観測者の眼を通る天文学的地平線上の太陽高度角の差である。地心太陽距離が約1億4960万kmあるのに対して地球の半径は約0.637万kmなので、地心視差は約0.002°(=tan-1(0.637/14960)であるから、観測者の眼を通る天文学的地平線上で太陽高度角がゼロの時、地球の中心を通る天文学的地平線(天の地平線)上の太陽高度角は+約0.002°である。
以上を総合すると
−眼高差−大気差−視半径+地心視差
の値は約-0.8°になる。即ち、日出時刻は太陽の中心(日心)が地球の中心を通る天文学的地平線(天の地平線)を超える瞬間より3分強早いことになる。
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