中川用語集
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熱(heat)
仕事によらずに系の内外あるいは系の一部分から他の部分へ移動するエネルギー量を熱量と呼び、そのとき移動するエネルギーを熱と呼ぶ。熱は、放射、伝導および対流によって、高温な系あるいは部分から低温な系あるいは部分に向かって輸送される。
熱拡散率(thermal diffusivity)
熱伝導方程式

∂T/∂t=κ∇2T

の係数κを熱拡散率と呼び、m2s-1単位で表す。
熱溜り(heat reservoir)
が出入りしても温度が変化しない熱源。
熱伝導方程式(heat conduction equation)
拡散方程式は、

∂ψ/∂t=κ∇2ψ

の形の偏微分方程式である。ここで、ψ;物理量、t;時間(s)、κ;拡散係数(m2s-1)である。物理量ψとして、温度Tを用いた拡散方程式

∂T/∂t=κ∇2T

を熱伝導方程式と呼び、このときの拡散係数を熱拡散率と呼ぶ。
x方向1次元の場合、熱伝導方程式は

∂T/∂t=κ∂2T/∂x2

と表され、その一般解Tは、

T=T(x,t)={Acos(x/λ)+Bsin(x/λ)}exp{(-(κ/λ2)t}+T

または

T=T(x,t)=Aexp{(κ/λ2)t+x/λ}+Bexp{(κ/λ2)t-x/λ}+T

または

T=T(x,t)=Aexp{iωt+i(ω/2κ)0.5x}exp{(ω/2κ)0.5x}+Bexp{iωt-i(ω/2κ)0.5x}exp{-(ω/2κ)0.5x}+T

と表される。境界条件によって利用しやすい形の一般解を用いる。

熱伝導率(thermal conductivity)
フーリエの熱伝導則

Q=-k∂T/∂x

の係数kを熱伝導率と呼び、Wm-1K-1単位で表す。ここで、Q;熱フラックス密度、T;温度、x;熱が流れる方向の距離である。即ち、1m隔てて1Kの温度差がある場合には、kWの熱が流れることを意味している。熱伝導率kは、媒体の密度ρと比熱cと熱拡散率κの積に等しい。
熱の仕事当量(mechanical equivalent of heat)
現在のSI単位系では、熱量と仕事量はともにエネルギーであるとして同じ単位で表すが、かつては熱量はcal、仕事量はJで表していた。かつて熱量の単位として用いられていた1cal(1atmの気圧の元で水1gの温度を14.5℃から15.5℃に上げるのに要する熱量)と等価な仕事量は4.1855Jであることが明らかにされており、この値4.1855Jを熱の仕事当量と呼ぶ。
熱力学の第一法則(the first law of thermodynamics)
単位質量の乾燥空気塊においてエネルギー保存の法則が成り立っており、単位質量の乾燥空気塊に与えられた熱量dQと空気塊の内部エネルギーの増加CvdTと空気塊が外に対して行う仕事pdαの和に等しくなることを表す法則。即ち、

dQ=CvdT+pdα

と表現される。ここで、p:気圧、α:単位質量の空気の体積(比容)、T:気温、Cv:定積比熱であり、pdα:空気塊が周囲に対して行う仕事、CvdT:内部エネルギーの増加量である。
この式は、気象学では観測できない比容αを含んでいるので、このままでは気象学的には利用できない。比容αは密度ρの逆数であるから、比容αを用いて状態方程式は

pα=RT

と表現できる。ここで、R:乾燥空気の気体定数である。この状態方程式の全微分を取ると

pdα+αdp=RdT

となるので、これを

pdα=RdT-αdp

と変形して、上記の熱力学第一法則に代入すると

dQ=CvdT+RdT-αdp

を得る。これに更に、状態方程式を変形して得られる

α=RT/p

を代入し、かつ、定圧比熱Cpと定積比熱Cvの関係

Cp=Cv+R

を利用してdTの同類項を整理すると、次式

dQ=CpdT-RTdp/p

が得られる。これが、気象学が利用できる変数で表現された熱力学第一法則である。この式の両辺をTで除すると、単位質量当たりのエントロピー(比エントロピー)の変化量dsの表現

ds=dQ/T=CpdT/T-Rdp/p

が得られる。この式の右辺を自然対数lnを用いて変形すると

ds=dQ/T=dln{Tp-R/Cp}Cp

という表現も得られる。いずれも熱力学の第一法則を表す式であり、単位質量の空気塊に熱量が入ってくると、温度と圧力がともに変化するが、それらの変化はこの式を満たしていなくてはならないことを示す。

 

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