中川用語集
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ミー散乱(Mie scattering)
球形粒子による電磁波の散乱の総称で、粒子の大きさについての特別の制限はない。従って、ミー散乱にの特別な場合として波長の1/10以下の微粒子に光が入射したときに生じるレーリー散乱を含む。レーリー散乱の適用できない波長より大きい粒子による散乱を、レーリー散乱と区別して、ミー散乱と呼ぶこともある。この場合のミー散乱の特徴は、波長の-1乗に比例して短波長の光が散乱されるので、同時にすべての波長が散乱され、前方散乱が後方散乱に比べて大きい。大気中に雲粒が存在するとミー散乱が起こるので、雲粒が存在する空間は白く見える。
水当量 (water equivalent)
当該の物体が熱的には何gの水に相当するかを表した値。当該の物体の質量に当該の物質の比熱を掛けた後に水の比熱で除して求める。しかし、0℃〜100℃の間の水の比熱は以下の表のように、ほぼ1.00cal/g・℃で一定に近いので、多くの場合、物体の水当量は、当該物体の質量に当該物体の比熱を掛けた値として扱える。

温度(℃)

水の比熱(cal/g・℃)

0 1.0075 
15 0.9999
50 0.9987
100 1.0074

(吉田ほか,1979:『六訂 物理学実験』三省堂より)

水二量体 (water dimer)
2つの水分子が弱い水素結合でつながった水蒸気で、(H2O)2と表記される 。単分子を単量体モノマー(monomer)とよび複数の分子がつながった高分子をポリマー(polymer)とよぶ。ポリマーは、つながっている分子の数に応じて、二量体(ダイマーdimer)、三量体(トリマーtrimer)...、と呼ばれる。水蒸気圧が高いほど水(水蒸気)二量体の発生は起こりやすく、20℃の飽和空気において、千個の単量体ごと、およそ一個の二量体が存在すると評価されている。大気の窓領域における水(水蒸気)二量体による吸収は、水蒸気圧e(hPa)に比例した吸収係数10-2e(g-1cm2、e;水蒸気圧(hPa))を持つ連続吸収帯を有するので、湿潤空気において特に重要であり、湿潤熱帯の垂直気層の大気の窓領域における透過率は50%程度とされている。
 

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