気圧 (atmospheric pressure)
頭上に存在する空気の重さにより生じる圧力であり、通常、pと表記する。単位体積の空気塊が受ける重力ρgを地上(z=0)から大気上限(z=∞)mまで積分すれば得られるので、
∞
p=-∫ρgdz
0
と表記できる。hPa単位で0.1hPaの位まで表示する。地上で測定される気圧の平均値は1013.245hPaとなることが経験的に知られており、この気圧の値を1気圧と呼ぶ。
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気圧計 (barometer)
気圧測定用の圧力計(マノメータmanometer)を気圧計(バロメータbarometer)、自記機能がある気圧計は自記気圧計(バログラフbarograph)と呼ぶ。気象学において使用されてきた伝統的な気圧計としては、フォルタン気圧計(Fortin
barometer)やアネロイド気圧計(aneroid
barometer)が知られている。フォルタン気圧計は、伝統的なマノメータそのもので、一端を閉じたガラス管の中に水銀を満たし、開口したもう一端を水銀を入れた容器の中に差し込んで鉛直に立て、管内の水銀柱の高さを気圧として計測する装置であり、気圧測定の標準測器である。アネロイド気圧計は、外圧である気圧の変化に伴って金属製の「空ごう」の体積が変化すことを利用して気圧を測定する装置である。これらは、デジタル自記記録を取ることが困難なので、最近の実際の観測現場では振動式気圧計や電気式気圧計が用いられることが多い。振動式気圧計は、薄い金属製の円筒の中を真空にしたものや水晶に強制的に振動をあたえると振動数が気圧によって変化する性質を利用した気圧計であるり、1980年代に普及した。電気式気圧計は、キャパシタンスマノメータ(capacitance
manometer)を利用した気圧計であり、気象庁は1995年以降この気圧計を採用している。単結晶シリコン等の弾性体で空間を作ると、アネロイド型気圧計の「空ごう」と同様にこの空間の容積が気圧によって変化し、空間内の圧力も変化する。コンデンサ(キャパシタ)内の圧力が変動すると、静電容量値(キャパシタンス)も変動するので、この単結晶シリコン等の弾性体による空間をコンデンサに仕立てることができれば、シリコンの空間が置かれている環境の圧力の変動を、コンデンサのキャパシタンスの変化を介してアナログ電圧変化に変換して出力することができる。
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気圧傾度 (pressure gradient)
単位距離隔てた空間内の2点間に存在する気圧の勾配。気圧傾度は3次元ベクトル量で、
∇p
と表記される。通常、局所直交座標系で表記されるので、x軸方向、y軸方向、z軸方向の各成分は、∂p/∂x、∂p/∂y、∂p/∂zと表現される。
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気圧傾度力 (pressure gradient force)
気圧傾度に比例して単位質量の空気塊に高圧側から低圧側に掛かる力。気圧傾度を∇pと表すと、気圧傾度力は、
−(1/ρ)∇p
と表される。気圧傾度力はベクトル量で、通常、局所直交座標系で成分表示すると、−(1/ρ)∇p=(−(1/ρ)∂p/∂x,−(1/ρ)∂p/∂x,−(1/ρ)∂p/∂z)
と表現される。通常は、z軸方向の気圧傾度力 −(1/ρ)∂p/∂z は重力 -g と釣り合い、空気塊は静水圧平衡状態にある。水平方向に気圧傾度力以外の力が働かない場合、空気塊は気圧傾度とは逆方向に加速される。
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気圧変化傾向 (pressure tendency)
地上現況気象通報式のTdTdapp群のppは、前3時間の気圧変化量(0.1hPa/3h)を意味しており、1の位と小数点第1位を表示している。例えば、+10であれば前3時間で気圧が1.0hPa上昇したことを示し、-34ならば前3時間で気圧が3.4hPa下降したことを示す。地上現況気象通報式のTdTdapp群のaは、気圧変化傾向を意味しており、前3時間の気圧の変化パターンを下表のように9つに分類して、符号表示している。
符号
| 記号
| 説明
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0
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| 上昇後下降 (3時間前の気圧と等しいかそれより高い) |
1
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| 上昇後一定、または緩上昇 (3時間前の気圧より高い) |
2
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| 一定上昇または変動上昇 (3時間前の気圧より高い) |
3
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| 下降または一定後上昇、または上昇後急上昇 (3時間前の気圧より高い) |
4
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| 一定 (3時間前の気圧に等しい) |
5
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| 下降後上昇 (3時間前の気圧に等しいか、低い) |
6
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| 下降後一定、または緩下降 (3時間前の気圧より低い) |
7
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| 一定下降、または変動下降 (3時間前の気圧より低い) |
8
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| 一定後または上昇後下降、または下降後急下降 (3時間前の気圧より低い) |
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気温(air temperature)
大気の温度。空気塊は多数の粒子から構成された質点系と見なせるが、その重心からみた各質点の相対運動の持つエネルギーを内部エネルギーuと呼び、内部エネルギーuの尺度として温度Tが用いられる。相対運動は1自由度ごとに(1/2)RTのエネルギーを持つことが知られている。ここで、R;当該気体の気体定数であり、乾燥空気の場合は287Jkg-1K-1である。主要成分が窒素や酸素と言った2原子分子からなる乾燥空気は、分子の重心運動が3自由度を持ち、回転運動が2自由度を持つため、内部エネルギーuは、
u=(5/2)RT
と表記される。この式を気温Tで微分すると、
du=(5/2)RdT
となり、内部エネルギーの変化duは気温の変化dTに比例する。その比例定数は定積比熱と呼ばれ、Cvと表記される。即ち、
du=CvdT、 Cv=(5/2)R
であり、乾燥空気の定積比熱Cvは714Jkg-1K-1となる。
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気温減率(temperature lapse rate)
単位距離だけ高度を変化させて測定された気温の高度変化率。単位距離として1mを用いると値が小さくなりすぎるので、通常、単位距離として100mまたは1kmが用いられる。標準大気の気温減率は0.65K/100m(=6.5K/km=0.0065K/m)となることが知られている。単位質量の空気塊が単位距離だけ上昇する際の冷却率も気温減率と呼ぶことがあり、水蒸気の相変化が発生しない場合の冷却率を乾燥断熱減率、水蒸気の相変化を伴う場合の冷却率を湿潤断熱減率と呼ぶ。
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気温の逆転(temperature inversion)
気温減率が負の値をとるような気温成層をしている場合、気温の逆転と呼び、気温の逆転を伴っている気層を逆転層と呼ぶ。
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気候感度パラメータ(climate sensitivity parameter)
放射強制力ΔFに対する全球平均平衡地上気温変化量ΔTsの比を気候感度と呼び、λと表記される。即ち、
ΔTs=λΔF
である。
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気象通報式(weather report code)
さまざまな気象観測結果を、有線または無線電信により予報中枢に送る際に使用される一定の電報形式。「FM12
地上実況気象通報式(SYNOP)」、「FM13
海上実況気象通報式(SHIP)」、「FM15
定時航空実況気象通報式(METAR)」、「FM35
地上高層実況気象通報式(TEMP)」などがある。
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気体定数 (gas constant)
普遍気体定数R*(=8314.51JK-1)を当該気体の分子量mで割った値。通常、記号Rで表し、単位はm2s-2K-1。普遍気体定数が気体の種類によらず一定であるのに対して、気体定数は気体ごとに異なり、分子量28.966の乾燥空気の気体定数は287.0m2s-2K-1であり、分子量18.0152の水蒸気の気体定数は461.5m2s-2K-1である。
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ギブスデュエムの関係 (Gibbs-Duhem relation)
系が複数の成分の混合により構成されている場合、ギブスの自由エネルギーGは
G=買ハini
と表されるので、ギブスの自由エネルギーGの変化dGは、
dG=(μidni+nidμi)
となる。ここで、μi;第i成分の化学ポテンシャル、ni;第i成分のモル数である。
等温等圧条件下で系から仕事として取り出し可能なエネルギー量をGとしているので、各成分の化学ポテンシャルの変化がdμi=0であると同時にその総和である系全体のギブスの自由エネルギーGの変化もdG=0であるから、
dG=買ハidni=0
でなくてはならない。ここで導かれた式
買ハidni=0
を、ギブスデュエムの関係と呼ぶ。この関係式は、等温等圧条件下での変化においては系を構成する成分の持つ1モル当りの化学ポテンシャルは変動しないが当該成分のモル数が変化するので当該成分の持つ化学ポテンシャルも変化するにもかかわらず、系の構成成分の持つ化学ポテンシャルの変化の総和は常に0でなくてはならないことを意味する。
niモルの物質の化学ポテンシャルμiは1モル当りのギブスの自由エネルギーGのni倍に相当するから、
niμi=Hi-TSi
と表現できる。等温等圧条件下でこれの全微分をとると、dμi=0、dHi=0、dT=0だから、
μidni=-TdSi
となる。
TdSi=dUi+PidVi
であるが、等温等圧条件下では、dUi=0より、
TdSi=PdVi
なので、
μidni=-PdVi
とでなくてはならない。状態方程式
PV=nRT
を利用してこの式を変形すると、
μidni=-niRTdVi/Vi=-niRTdln(Vi)=-niRTdln(niRT/Pi)=-niRTdln(niRT)+niRTdln(Pi)
=niRTdln(Pi)=(PiVi/RT)RTdPi/Pi=VidPi
となることが示せる。従って、流体のギブスデュエムの関係は、
之idPi=0
と表記することができる。
例えば、微水滴と水蒸気が共存して平衡状態にある場合には、ギブスデュエムの関係
VwdPw+VvdEv=0
が成り立たねばならない。ここで、添え字のwとvは、それぞれ、液体の水と水蒸気を意味しており、Vw;微水滴の体積、Pw;微水滴の水圧、Vv;水蒸気の体積、Ev;水蒸気圧である。
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ギブスの自由エネルギー (Gibbs free energy)
等温等圧条件下で系から仕事として取り出し可能なエネルギー量をG
G=U+PV-TS
と表し,これをギブスの自由エネルギーと呼ぶ。ここで、P;圧力、T;温度、U;内部エネルギー、T;温度、S;エントロピーである。ギブスの自由エネルギーGは示強変数TおよびPの関数であるが、ギブスの自由エネルギーG自体は示量変数なので、その量は系のモル数nに依存している。
系が単一の成分から成る場合、ギブスの自由エネルギーGは、
G=μn
と表わされる。ここで、μ;化学ポテンシャルである。つまり、単一成分系の場合には、化学ポテンシャルは1モル当りのギブスの自由エネルギーと定義できる。
系が複数の成分の混合により構成されている場合、ギブスの自由エネルギーGは、
G=買ハini
と表わされる。ここで、μi;第i成分の化学ポテンシャル、ni;第i成分のモル数である。
ギブスの自由エネルギーGの変化dGは
dG=dU+PdV+VdP-TdS-SdT
となるが、
Tds=dU+PdV
であるから、
dG=VdP-SdT
である。ギブスの自由エネルギーは等温等圧条件下を前提にしているから、dP=dT=0なので、ギブスの自由エネルギーの変化dG=0であり、同じ理由で、化学ポテンシャルの変化dμ=0である。系が複数の成分の混合により構成されている場合、ギブスの自由エネルギーの変化dGは、
dG=(μidni+nidμi)=0
となるが、等温等圧条件下では各成分の化学ポテンシャルの変化がdμi=0であるから、
dG=買ハidni=0
でなくてはならない。ここで導かれた式
買ハidni=0
はギブスデュエムの関係と呼ばれる。
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逆転層 (inversion layer)
大気の特性を表す変数は、通常、高度とともに増加するか減少する特性を持っている。これらの変数の高度分布が、通常の高度に伴う変化をしていない層を逆転層と呼び、その層の最下端の高度を逆転層の底と呼ぶ。
大気の特性を表す変数は種々あるが、特に変数を指定せずに逆転層と呼ぶ場合は、気温の逆転層を指すのが一般的である。対流圏における気温の高度分布は、高度とともに減少するのが通常の分布であるので、高度の増加とともに気温も増加する状態になっている気層を(気温の)逆転層と呼ぶ。
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球面三角法 (spherical trigonometry)
単位球面(半径1の球面)上の3点ABC間を結ぶ大円が作る三角形を球面三角形と呼ぶ。各頂点と球の中心を結ぶと3つの扇形ができるが,球面三角形の辺の長さ(大きさ)
は単位球の中心に対する大円の中心角で測り、球面三角形の内角は3辺の間の角度とする。
球面三角形ABCの内角A、B、Cと対辺(中心角)a、b、cの間には,平面三角形と同様に以下の関係式が成立する。
正弦定理
余弦定理
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強制対流(forced convection)
流体に働く外力に起因する圧力差による流体の流動現象。
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強制復元法(force-restore method)
FR法とも呼ばれる。土壌層の熱伝導式を解いて地温プロファイルを求める手順を経ないで、温度Tsで層厚(κs/2Ω)0.5の薄い上層(地表層)と温度Tで層厚(182.5κs/Ω)0.5の厚い下層(熱溜め)からなる2層土壌モデルの上層の熱収支に基づく次式
∂Ts/∂t=(Rn0-H0-λE0)/Cg-Ω(Ts-T)
の形の予報式により地表面温度Tsを直近の地表面温度Tsから数値的に決定する方法。ここで、κs;熱拡散率、Ω;地球自転角速度(rad
s-1)、Ts;地表面温度(K)、t;時間(s)、Rn0;地表面放射収支(Wm-2)、H0;地表面顕熱フラックス密度(Wm-2)、E0;地表面潜熱フラックス密度(Wm-2)、Cg;土壌熱容量(=csρs(κs/2Ω)0.5)(Jm-3)、cs;土壌比熱(Jkg-1K-1)、ρs;土壌密度(kgm-3)、T;日平均地表面温度(K)である。上式右辺第1項の地表面熱収支による強制力が、第2項の日平均地表面温度Tを含む復元項により修正される形になっているので、この名が与えられている。下層の層厚は、下端面を通過する熱フラックスが常に0とみなせるほど十分な深度が確保できるように設定される。このため、右辺第1項の強制力が存在しない場合、厚い下層が熱溜めとして作用し、右辺第2項により地表面温度Tsは日平均地表面温度Tに戻る方向に変化させられる。含水率20%の湿った砂の土壌層(熱拡散率κs=0.84×10-6m2s-1、比熱cs=1260Jkg-1K-1、密度ρs=1800kgm-3)の場合、上層の層厚はD/2={0.84×10-6m2s-1/(2×7.292×10-6rad
s-1)}0.5=0.075mであり、熱容量はCg=1260Jkg-1×1800kgm-3K-1×0.075m=170100Jm-2K-1となる。厚い下層と薄い上層の間での熱交換係数はΩCg=7.292×10-6rad
s-1×170100Jm-2K-1=12.4Wm-2K-1と見積もられる。
日平均地表面温度Tの予報式は、次式
∂T/∂t=(Rn0-H0-λE0)/(19.10Cg)
で求まるが、ほとんど変化しないので一日程度の短期間の計算の際には一定としてよいが、正確な値を用いないと誤差の原因となる。
現実の地表面熱収支による強制力は完全な正弦波ではないので、上式の係数はより高次の調和項を考慮して修正される必要がある。Garrat(1992)によると、数値モデルにおいて地表面温度の予報式として、
∂Ts/∂t=(Rn0-H0-λE0)/(0.95Cg)-1.18Ω(Ts-T)
が共通に用いられる。
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行列 (matrix)
マトリックスのこと。
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行列式 (determinant)
n×n型正方マトリックスA
に対して、ある一つのスカラー量、即ち数値を指定し、これを行列式(determinant)と呼び、以下のように、det(A)または|A|と表記する。
n×n型正方マトリックスAから、どれか1つの行と1つの列をクロスアウト(削り取り)して得られる(n-1)×(n-1)型正方マトリックスの行列式を(n-1)次の小行列式(minor
determinant)と言う。マトリックスAから第i行と第j列とをクロスアウトしてマトリックスAの小行列式|Mij|を作り、この小行列式に符号(-1)i+jを掛けたものを、要素aijの余因子(cofactor)と呼び、Aijと表記する。即ち、
Aij=(-1)i+j|Mij|
である。余因子を用いると、n×n型正方マトリックスAの行列式|A|を
n
|A|=蚤ijAij (行展開)
j=1
または
n
|A|=蚤ijAij (列展開)
i=1
と(n-1)×(n-1)型正方マトリックスの行列式の線形式に展開することができる。これをラプラスの展開と呼ぶ。ラプラスの展開を繰り返すことにより、任意の次数の正方マトリックスの行列式を3次以下の低次数の正方マトリックスの行列式の線形式に展開することが出来る。3×3型正方マトリックスの行列式の値は、サラスの方法(Sarrus
rule)により、
と求めることができる。従って、ラプラスの展開とサラスの方法を組み合わせることによって、任意の次数のマトリックスの行列式の値を具体的に求めることができる。
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局所直交座標系(local Cartesian coordinate system)
地球物理学の分野で通常用いられる直交座標系。観測地点に原点を置き、重力とは反対の方向にz軸を取り、z軸と垂直な水平面上において、真北の方向にy軸、真東の方向にx軸を取る。原点自体が、地表面と一緒に地軸の周りを回転しながら、太陽の周りを回転しているだけでなく、座標軸も時々刻々その方向が変化しており、局所直交座標系は決して慣性座標系にはなりえない。局所直交座標系の特に重要な特徴は、回転座標系である点にある。
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曲率渦度(curvature vortisty)
流線に曲率半径rの曲率が存在する時に流体が持つ渦度を曲率渦度と呼ぶ。流速をuとすると、曲率渦度ζcは、ζc=u/r
で与えられる。曲率円の中心が左側にある場合に正符号とし、右側にある場合に負符号とする。渦度には、曲率渦度ζcのほかに、シアー渦度ζsがあり、両者の和ζc+ζsを相対渦度と呼ぶ。
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均時差(equation of time)
真太陽時と平均太陽時の差。Eqと表記されることが多い。真太陽時と平均太陽時は、地方標準時間を定めている経度における、それぞれ、実際の太陽と平均太陽の時角に対応する時間である。平均太陽の自転周期は一定(≒23時間56分04秒)であるが、真太陽の自転周期は季節変化する。元旦からの通し日数dnに基いて
θ0=2π(dn-1)/365
により定めたθ0を用いて、次式
Eq=0.000075+0.001868cos(θ0)-0.032077sin(θ0)-0.014615cos(2θ0)-0.040849sin(2θ0)
により均時差を求める。
当該地点における真太陽の時角hは、
h=(JST-12)π/12+標準子午線からの経度差+均時差(Eq)
により求まる。ただし、経度差もrad単位に統一しなければならない。
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近赤外線 (near infrared radiation)
波長0.7μm〜2μmの電磁波の呼称。電磁波は、波長が短い方から順に、X線<1nm<紫外線<0.4μm<可視光線<0.7μm<赤外線<1mm<マイクロ波<1m<ラジオ波と区分されるのが一般的であり、赤外線は更に、0.7μm<近赤外線<2μm<中間赤外線<4μm<遠赤外線<1000μmに区分される。遠赤外線は波長が長い為、物質の内部によく浸透し、また、ほとんどの有機物の吸収帯がこの波長域にあるためよく吸収され、全体を効率よく温める性質を持つ。特に遠赤外線の中の中間赤外線に近い4μm〜14μmの波長帯は「育成光線」と呼ばれ、動植物が必要な光線であり、人体細胞の活性化・血行促進など健康に良い効果も持っている。太陽放射エネルギーの99%以上は4μmより波長が短い電磁波であり、短波放射と呼ばれているが、短波放射エネルギーの過半数は近赤外線である。
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