河野 忠 研究室 ホームページ
 
  プロフィール
  日本各地の湧水
  ゼミ紹介
  立正大学ライシメーターデータ
   
   
   
   
  TOP



湖沼


日本に幾つぐらいの湖があるのか,実はよく分かっていません.湖沼研究の第一人者,堀江正治先生が主な湖沼をあげた報告書(Horie,1962)によると600ほどあることが分かっています.私が調べた限りでは(河野,1987),約1600ヶ所ほどあるようですが,登山道沿いの小さな湖沼や湿原の池塘などをいれると,おそらく2000を越えることでしょう.私の夢の一つに,日本のすべての湖沼巡りをすることがあります.まだ,500足らずの湖沼しか訪れることができませんが,その中から印象的,不思議,面白い,思い出深い湖沼の数々を紹介しましょう.

 Shoji Horie(1962):Morphometric Features and the Classification of all the Lakes in Japan,
  Memories of the College of Science,University of Kyoto,Ser.B,Vol.XXIX,No.3,Article 2(Biology),191〜262.
 河野 忠(1987):湖沼の集水域及び湖盆の水文地形特性と水質.立正大学大学院年報,No.4,65〜76.

★湯沼(北海道川上郡弟子屈町)
 私の一番のお気に入りの湖をご覧頂きましょう.北海道の屈斜路湖の東にある『湯沼』という湖です.実はヒグマ生息地なので,普段は立ち入りが禁止されています.林野庁に許可を貰って,恐る恐る調査しました. まわりは針葉樹林でいつヒグマに襲われるかもしれないような所です.恐ろしさに顔が引きつっているのがわかりますか. とはいえ,湖の水質を調べながら,誰もいない私だけの世界で,怖いながらも至福のひとときを過ごすことができました.



写真 湯沼(北海道川上郡弟子屈町) 1992年9月8日


★神の子池(北海道斜里郡清里町)
 最近有名になってしまいましたが,同じ北海道の摩周湖の北側に『神の子池』という湧水池があります.摩周湖の漏水がここに湧き出ているという伝説がありますが,摩周湖の水質と神の子池の水質は異なる部分が多いので,おそらく違う水源があるのでしょう.



写真 神の子池(北海道斜里郡清里町) 1992年9月8日


★摩周湖と知床五湖
 言わずと知れた,摩周湖です.摩周湖を見ることのできた女性は婚期が遅れると言われますが,そんな伝説はどこ吹く風.毎年大勢の若い女性が訪れています.ちなみに私は5回ほど行きましたが,すべて快晴でした.婚期の遅れは男性には関係ないようです.
 知床五湖は知床半島の付け根にある風光明媚な湖です.全部で五つの湖があり,15年ほど前にそれぞれ名前が付けられたと聞いています.どの湖も展望の非常に良い,北海道を代表する湖の一つです.ただし,ヒグマにはご注意を...

写真 摩周湖(第一展望台より) 1986年9月1日


写真 知床五湖(おそらく第1湖?) 1986年9月1日


★橘湖(北海道登別市)
 非常にきれいな円形で知られるカルデラ湖「倶多楽湖」の東にある小さな湖が橘湖です.この橘湖は日本で唯一個人所有として知られている湖です.以前売りに出されたという話を聞きましたが,その後どうなったのでしょうか.個人所有とはいえ,湖畔には自由に出入りすることができます.私の大好きな湖の一つです.

写真 橘湖 1986年9月7日


★赤沼・青沼(北海道阿寒町)
 雌阿寒岳山頂にある火口湖です.強酸性の湖水と予想されますが,亜硫酸ガスと崩落の危険性があるために立ち入り禁止となっています.

写真 赤沼(左),青沼(右) 1991年7月5日


★駒止湖(北海道加東郡鹿追町)
 すぐ近くにある然別湖が有名なためか,ほとんど訪れる人のいない湖です.途中の足場が悪く,危うく骨を折りそうになりながら湖畔までたどり着きました.深閑とした,三大秘湖に劣らない湖の一つです.

写真 駒止湖 1990年8月24日


★オダトマリ沼(北海道利尻島)
 大学院巡検の帰り道寄ったのが利尻島のオダトマリ沼です.近くには三日月沼という湖もあり,私のあこがれの湖でした.宿泊していた鴛泊から延々15kmもてくてく歩き,途中百名水の一つ姫沼に寄りながら訪れた思い出の湖です.周囲は湿地で近づくくことができなかったのが,少々残念でしたが...とはいえ天気が良かったこともあり,ご覧の通りの絶景を楽しむことができました.雲に隠れているのが利尻岳です.

写真 オダトマリ沼 1986年8月30日


★オコタンペ湖(北海道苫小牧市)
 北海道三大秘湖の一つ,オコタンペ湖です.支笏湖の北西にあり,道路から素晴らしい景色を堪能することができます.湖畔に降りるには相当の覚悟が必要になり,ヒグマも出没するので,この景色で我慢した方が無難です.

写真 オコタンペ湖 1987年10月5日


★御浜池(山形県)
 私が危うく遭難しかけた思い出の湖です.月山登山口から下りで1時間,帰りは3時間ほどかかります.

写真 御浜池 1988年10月26日


★大鳥池(山形県)
 タキタロウという幻の魚が生息するという秘境の湖です.登山口からあえぎあえぎ5時間の登山行となります.

写真 大鳥池 1988年10月27日


★片貝の池(福島県南会津郡檜枝岐村)
 秘境中の秘境奥只見湖の更に奥,虚空蔵岩を更に遡ると片貝の池という日本第一の秘湖といってよい湖があります.船で奥只見湖を渡り,歩くこと20分ほどで辿り着きます.大学院の巡検で,この湖を訪れる機会があり,いろいろと調べることができました.
 岡田浩美・梶原茂喜・河野 忠・木山秀延・長谷川修・早川 敦・原田洋一・矢口裕之(1988):奥只見・片貝ノ池の自然環境.地域研究,Vol.29,No.1,39-44.

写真 片貝の池 1987年7月19日


★陰陽池(東京都小笠原村南島)
 日本で最も行きにくい秘境の地,小笠原諸島の父島から更に,小型船で30分,南島というところに陰陽池があります.日大による簡単な報告書がある以外,ほとんど手つかずの湖沼で,一種のドリーネ湖といえるでしょう.私の恩師T先生の巡検で予定外にも訪れることができましたが,船の都合で写真に納めるのがやっとでした.
 田場 穣・佐藤キエ子・高林光雄(1975):小笠原群島の陸水(1)−南島陰陽池について.日大文理学部自然科学研究所紀要,Vol.10,23〜29.

写真 陰陽池 1989年6月頃


★湯釜(群馬県吾妻郡草津町)
 かつてpH0.9を観測した記録が残り,蔵王お釜と並んで世界で最も酸性の強い湖の一つです.最近,もっと強い酸性の湖が発見されたそうです.湯釜の水色は氷河湖と同じような乳白色で非常にきれいですが,生物の存在を許さない死の世界です.

写真 湯釜 1992年6月13日


★夜叉が池(福井県南条郡今庄町)
 広野ダム登山口からあえぎあえぎ急坂を登ること約3時間,ぽっかりと岐阜県との県境の尾根につきます.そこに龍神にまつわる伝説の湖,夜叉が池があります.泉鏡花の原作を元にして映画にもなりましたが,さすがにここでロケをすることは容易ではなかったようで,富山県の縄ヶ池が選ばれたようです.

写真 夜叉が池 1987年9月14日


★小田の池(大分県湯布院町)
 大分にも湖沼があります.その代表がこの小田の池です.高層湿原のある風光明媚な湖沼です.


★立石池(大分県湯布院町)
 大分にある数少ない天然湖沼の一つ立石池です.


★六観音御池(宮崎県えびの市)
 九州には池田湖以外に目立った湖沼が少ないのですが,この六観音御池のように魅力的な湖が散見できます.観光ルートからはずれており,あまり人は訪れませんが,少し歩けば静寂の中で自分の世界に浸ることができます.

写真 六観音御池 1986年12月15日


★住吉池(鹿児島県)

写真 住吉池


プロフィール/日本各地の湧水/ゼミ紹介/TOP
立正大学 河野 忠   問い合わせはこちらまで