宝石サンゴの成長速度:鉛-210による推定

 
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宝石サンゴの成長速度:鉛-210による推定
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 深海に棲んでいる宝石サンゴは、一体どれくらいの速さで成長しているのでしょうか。自然界に存在する放射性核種の鉛同位体で調べました。鉛同位体のひとつに鉛-210があり、その半減期は22.3年です。半減期とは放射能がもともとの値の2分の1になるのに要する時間です。琉球諸島周辺海域から採取したモモイロサンゴの肥大成長速度(骨軸が太る速度.骨軸横断面の半径あたりの成長速度)は、1年で0.15 mmと非常に遅いことがわかりました(図1、図2)。大人の小指くらいの太さになるのに約50年かかります。(弘前大学 山田正俊)

 

モモイロサンゴ成長速度図1 沖縄産モモイロサンゴ:A〜Eは分析した場所を示している
  骨軸の構造
 
図2 沖縄産モモイロサンゴ:骨軸半径あたりの肥大成長速度