宝石サンゴの生物学

 
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はじめに:宝石珊瑚とは
宝石サンゴの生物学
宝石サンゴの利用の歴史
宝石サンゴの種類と漁業
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宝石サンゴの化学:骨軸の微量成分と生息場所
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宝石サンゴの成長速度:鉛-210による推定
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 刺胞動物の仲間で骨格を持つものを「サンゴ」と呼び、その中で骨格が宝飾品に用いられるものを宝石サンゴと呼んでいます。宝石サンゴは、珊瑚礁を形成する造礁サンゴとは分類も生態も異なる生物です。宝石サンゴは八放サンゴ亜綱に属し、水深数十mから2000mに生息します。一方、造礁サンゴの多くは六放サンゴ亜綱に属し、生息深度は水面から数十mまでです。

 宝石サンゴの形状は一般に扇型をした樹状であり、 海底の岩などに固着しています。 それらは内骨格である骨軸(axis)によって支えられおり、骨軸の周囲を取り巻く共肉にはポリプ(polyp)が分布しています。 ポリプは形態的にまとまった一つの個体であり、 その形は袋状で口の周囲には8本の触手があります(図1、2)。 樹状の宝石サンゴは、 相互に胃水管により連結された複数のポリプが集合したものであり、 群体(colony)と呼ばれています。 また、共肉には骨片(sclerite)が多数存在し、擦傷を防ぐ役割を果たしています。

 群体は雌雄異体で、有性生殖により繁殖します。また、ポリプは無性生殖により増殖し、それに伴い骨軸が形成され分岐を繰り返して成長します。 骨軸はその周囲を覆う骨軸上皮により分泌形成されますが、 骨軸の先端部と中心部とは造骨細胞により分泌形成された骨片が集合し形成すると考えられています。 (立正大学 岩崎望)

<文献>
●岩崎望・鈴木知彦,  2008. 宝石サンゴの生物学.岩崎望編. 珊瑚の文化誌—宝石サンゴをめぐる科学・文化・歴史. 東海大学出版会,  3-17.
●岩崎望,  2008. 宝石サンゴ骨軸の形成と成長. 月刊地球, 号外59, 40-44.
スペースベニサンゴ
図1 地中海産ベニサンゴのポリプ

 

 

ポリプの模式図
    図2 ポリプの模式図:岩崎・鈴木,    2008より引用