宝石サンゴを増やす試み

 
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はじめに:宝石珊瑚とは
宝石サンゴの生物学
宝石サンゴの利用の歴史
宝石サンゴの種類と漁業
日本における分布
宝石サンゴの化学:骨軸の微量成分と生息場所
バイオミネラリゼーション
宝石サンゴの成長速度:鉛-210による推定
宝石サンゴ骨軸の構造
骨軸の化学分析から生息水温を推定する
宝石サンゴの系統分類
アカサンゴの成熟時期
宝石サンゴを増やす試み
珊瑚網の影響
宝石サンゴを持続的に利用するために
研究の成果:書籍、論文など
研究組織
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 宝石サンゴを人工的に飼育し増産を図ることは、その成長が遅いために現実的ではありません。そこで、自然環境下で宝石サンゴ幼生が附着しやすい環境をつくり、増殖を図ることを試みました。塩化ビニール製タイルや各種のセラミックタイルなどを宝石サンゴ生息海域に1年以上設置し、幼生の附着が見られるかどうかを調査しました(図1)。残念ながら宝石サンゴ幼生の附着は確認できませんでしたが、ヒドロサンゴ類などは塩化ビニール製タイルに多く附着することが分かりました(図2)。基盤設置海域にはヒドロサンゴ類の分布は見られないため、人工基盤設置により幼生の附着が促進されることが明らかになりました。今後、宝石サンゴの幼生が附着しやすい基盤と設置方法を開発することにより、幼生の付着を促し自然環境下で資源を増加させることが期待できます。(立正大学 岩崎望)

 

幼生付着基盤   ヒドロ珊瑚類
図1 アカサンゴの近くに設置した幼生附着基盤
 
図2 塩化ビニール製タイルに附着したヒドロサンゴ類