宝石サンゴを人工的に飼育し増産を図ることは、その成長が遅いために現実的ではありません。そこで、自然環境下で宝石サンゴ幼生が附着しやすい環境をつくり、増殖を図ることを試みました。塩化ビニール製タイルや各種のセラミックタイルなどを宝石サンゴ生息海域に1年以上設置し、幼生の附着が見られるかどうかを調査しました(図1)。残念ながら宝石サンゴ幼生の附着は確認できませんでしたが、ヒドロサンゴ類などは塩化ビニール製タイルに多く附着することが分かりました(図2)。基盤設置海域にはヒドロサンゴ類の分布は見られないため、人工基盤設置により幼生の附着が促進されることが明らかになりました。今後、宝石サンゴの幼生が附着しやすい基盤と設置方法を開発することにより、幼生の付着を促し自然環境下で資源を増加させることが期待できます。(立正大学 岩崎望)
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