宝石サンゴの系統分類

 
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はじめに:宝石珊瑚とは
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  宝石サンゴとして広く利用されているものは、アカサンゴ、シロサンゴ、モモイロサンゴ、ベニサンゴの4種類ですが、それらの系統や分類については必ずしも 明確にはなっていませんでした。私たちはこの問題を、ミトコンドリア遺伝子の塩基配列(A、C、G、Tの並び)を調べて解決しようとしました。
 宝石サンゴのミトコンドリア遺伝子およそ18900塩基対からできていました(図1)。図1には例としてアカサンゴとシロサンゴの17種類の遺伝子の並 びを比較していますが、両者は大きく異なることが分かります。これはアカサンゴとシロサンゴが分類的に明確に異なることを意味しています。
 次に塩基配列を利用して分子系統樹を作製し、宝石サンゴと近縁な動物との関係(図2)、及び宝石サンゴ間の類縁関係(図3)系統を明らかにしました。こ の結果、宝石サンゴはアカサンゴとベニサンゴ、シロサンゴとモモイロサンゴの2グループに大別されることが判明しました。(高知大学 鈴木知彦)

文献
● Uda. K., Komeda. Y., Koyama. H., Koga. K., Fujita. T., Iwasaki. N. and Suzuki. T., 2011. Complete mitochondrial genomes of two Japanese precious corals. Paracorallium japonicum and Corallium konojoi (Cnidaria. Octocorallia. Coralliidae): Notable differences in gene arrangement. Gene, 476. 27-37.

 

ゲノムマップ


図1 アカサンゴ(左)とシロサンゴ(右)のミトコンドリアゲノムマップ:両者は遺伝子の並びが大きく異なる。ベニサンゴはアカサンゴと同じ並び、モモイロサンゴはシロサンゴと同じ並びを持つ。
   
分子系統樹
図2 ミトコンドリアゲノム配列を用いて作られた分子系統樹:この系統樹には加えていないが、ベニサンゴはアカサンゴと、モモイロサンゴはシロサンゴと、それぞれクラスターを形成する。このことから宝石サンゴは2グループに大別されることが分かる。


 
 
分子系統樹
図3 ミトコンドリアmsh1及びnad4遺伝子に基づく宝石サンゴ類の分子系統樹